映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ハドソン川の奇跡

2016年10月23日 | クリント・イーストウッド
英雄か、犯罪か



* * * * * * * * * *

さて、クリント・イーストウッド監督作品です!!
2009年ニューヨークで実際に起こった航空機事故を描いているんだね。
2009年1月15日乗客乗員155名を乗せた旅客機がマンハッタン上空850メートルでエンジン停止。
バードストライクと言って鳥がエンジンに入り込んじゃったんだね。
空港に引き返すかあるいは別の近くの空港に着陸するという選択肢もあったのだけれど、
 機長チェズレイ・サリンバーガー(トム・ハンクス)は、
 それでは間に合わないと判断して、ハドソン川へ着水したわけだ。

その間、事故発生から208秒。
 ほんとに、あれこれ悩んでるヒマなんかないよね。
しかし、着水したのはいいけれど、1月の凍りつきそうな水がどんどん侵入してくる。
 機長を始め乗務員が乗客を誘導して、翼の上に避難させて・・・。
でもこれはニューヨークという人目の多いところなのが良かったんだよね。
すぐに近くを行く船が救助に駆けつけた。
 結局155名全員が救出されたというのは、やはり奇跡に違いないと思うよ。
そして、その様子はすぐにそのままTVで流されて、
 機長は一躍国民的英雄になったのだけれど・・・。
国家運輸安全委員会が、機長の判断について異議を唱えるんだね。
 機長の判断は本当に正しかったのか、
 あえて乗客を不必要な危険に晒したのではないかと、厳しい追求が始まります。
全員が助かったのは事実だから、はじめからわかっている。
 だけど、実際すごくドキドキさせられちゃいました。
 迫力があって、リアルです。
 実際に自分では絶対に体験したくないと思っちゃったもの。



私、少し前に見た「フライト」という作品を思い出してしまった。
 あれも制御不能の飛行機を背面飛行までしてなんとか着陸に成功し、
 乗客を救った機長が、その直後、罪に問われるという・・・。
 だからもしかしたらその「フライト」は
 このハドソン川の事故をモデルにしたのかと思ったのだけれど・・・。
そうではなくて、それはまた別の事故がモデルだったんだね。
つまり、そういう事故が、結構あるということか・・・。



それにしてもね、実際全員が助かったと言うのに、この理不尽な対応はどうなのよっ!!
 ていうのが本作のキモということだよね。
 結果オーライ、それでいいじゃん、って普通は思う。
でもきっと、この事故の損害を機長の「判断ミス」って言うことで
 責任を押し付けたかった何者か(?)の意図があったんじゃないかなあ・・・。



私はだから本作、機長が責任を押し付けられて終わりなのかと思ってたんですよ、実は。
 でもそうじゃなかった。
そこがやっぱり、イーストウッド監督じゃないですか。
奇跡を起こすのは機械じゃない、人間だって言うのがね、いいですね。
余計な枝葉を付けず、シンプルに一つの顛末にまとめ上げたのがよかったと思う。



「ハドソン川の奇跡」
2016年/アメリカ/96分
監督:クリント・イーストウッド
原作:チェズレイ・サレンバーガー「機長、究極の決断『ハドソン川』の奇跡」
出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー、クリス・バウアー、マイク・オマリー
ドキドキ度★★★★☆
満足度★★★★☆


最新の画像もっと見る

コメントを投稿