映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

もらとりあむタマ子

2014年11月11日 | 映画(ま行)
実家に寄生中?!



* * * * * * * * * *

前田敦子主演。
実のところもっとキャピキャピした感じの作品かと思ってしまっていましたが、
意外になかなか面白い。



東京の大学を出たものの、就職もせず甲府の実家に戻り、
漫画を読んだりゲームをしたり、
日がな一日ゴロゴロして過ごす23歳タマ子(前田敦子)。
母親が出て行ってしまって家にはおらず、
さびれたスポーツ店を営む父が、家事を器用にこなしています。
父が娘の下着を洗濯して、ご飯の支度・・・。
その横で娘はゴロゴロしながら漫画を読み耽る。
実に嘆かわしいです!
・・・しかし笑えないんだなあ。
今どきありがちな構図なのではないでしょうか。
我が家にも近いものがあったりする・・・。
父親も嬉々としてそれをやっているわけではないのです。
さっさと就職して、家を出て行け!! 
そう言いたいけれどなかなか言えず、
タイミングを見計らっている。
ついに意を決して言ってみれば娘は逆ギレ。
・・・もうそれ以上は言えません。
タマ子自身も、父親のそういう気配はビンビン感じているのです。
そんな父と娘の微妙な心模様が描かれます。



うだうだ、ぐだぐだの前田敦子さんがいいですね!! 
ポスターにある「実家に帰省中」が
「寄生中」と直してあるあたりが心憎い。


さて、タマ子は本当は何をしたいのか・・・?
それも明かされるのですが、これとて、どうも本気らしくはない。
いいんじゃないでしょうか。
そんなにビッグな夢なんか持たなくても、
とりあえずは自立できるだけの収入を得て生きていければ御の字。
でも、それだけのほんの一歩でも
彼女には何かしらの後押しが必要だったようなのです。



タマ子と中学生のやり取りがなんともほのぼのしてて、楽しい。
中学生につい頼ってしまうタマ子もどうなの?とは思いますが、
少年は「あの人には友だちがいない」なんて言っている。
いやいや、そういいつつ、
なんだかほんのり初恋めいた感情も無くはないのでしょう。
そんなところがわざとらしくなくて、ステキです。



物語は秋から始まり冬・春・夏・・・と、一年を追います。
秋始まりというのも欧米の1年周期でもあり、
ちょっとオシャレです。
たっぷり遊んだ後に、厳かな新しい生活が始まる・・・という意味では
こういう周期も悪くない。


「もらとりあむタマ子」
2013年/日本/78分
監督:山下敦弘
出演:前田敦子、康すおん、伊東精矢、鈴木慶一、中村久美
うだうだグダグダ度★★★★★
満足度★★★★☆


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