映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

由宇子の天秤

2022年09月04日 | 映画(や行)

正しいことを貫こうとすれば・・・

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3年前の女子高生いじめ自殺事件の真相を追う、
ドキュメンタリーディレクターの由宇子(瀧内公美)。
世に問うべき問題に光を当て、製作サイドと衝突することも厭わない。
由宇子はそうした自分のやり方に自信とプライドを持っています。

また彼女は、父(光石研)が開いている学習塾を手伝い、高校生たちとも交流があります。
ある時、父・政志の思いがけない行動で、
由宇子は信念を揺るがす究極の選択を迫られる・・・。

由宇子が追っているいじめ自殺事件は、
いじめを受けていた女子高生が教師と付き合いがあったというウワサを流されて自殺したというもの。
おまけに、その教師もその後、付き合いなどなかったという遺書を残して自死してしまったのです。

残された家族にインタビューを求め、真実を探ろうとしていた由宇子ですが、
家族への誹謗中傷が思いのほか執拗で、
まるで罪人であるかのように小さくなって生活していることを知ります。
それでも、その世間に対して真実を伝えなければならないという
強い思いで由宇子は突き進んでいたわけですが・・・。

ところが、由子自身が世間からのバッシングを受ける立場になるかも知れない
という瀬戸際の時に、それでも由宇子は「真実」を述べることができるのだろうか。

自己保身のために、人は嘘をつく。
そういうことも目の当たりにしてしまった由宇子。
果たして彼女は自身の問題にどう答えを出すのか・・・。

重苦しい緊迫感に埋め尽くされている作品。
ちょっとつらいです。

けれど、「正しいこと」を貫こうとすれば、誰かが必ず傷つく。
それでもそれを貫こうとするのは勇気なのか。
蛮行なのか。

世の中は単純ではない。
だから、こうした視点は今、とても大事であるように思います。
答えはないけれど、その都度考えて考え抜くことが求められるのかも知れません。

<Amazon prime videoにて>

「由宇子の天秤」

2020年/日本/152分

出演:瀧内公美、河合優実、梅田誠弘、光石研

究極の選択度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



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