映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

わたしは光をにぎっている

2020年11月25日 | 映画(わ行)

新しい街で、自分の居場所を見つけるオンナノコ

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20歳・澪(松本穂香)は、両親を早くに亡くし、
祖母と2人で長野県の湖畔の民宿を切り盛りしていました。
しかし祖母の入院を機に、民宿をたたむことに。
そのため澪は、父の親友だった京介(光石研)を頼りに上京します。
京介は銭湯を営んでおり、しばらくはそこに身を寄せることになった澪。
しかし、仕事探しがうまくいかず、銭湯の仕事を手伝うようになります。

個性的な常連客と交流しながら、次第にこの町の生活になじんでいき、
ここが自分の場所として感じられるようになっていきます。
しかし町の再開発が進み、この銭湯も閉めることに・・・。

松本穂香さんが、少しぼーっとした澪の雰囲気をうまく演じていたと思います。
監督が本作を「翔べない時代の魔女の宅急便」と称したとか。
なるほど、故郷を離れて新しい町で自分の居場所を見出していく少女の物語。
ただし、空を飛ぶような特殊なものではなくて、
どこにでもいそうな地道な女の子・・・。

お祖母さんがよく言っていた
「目の前のできることから一つずつ」という言葉を胸に、
ステップアップしていく澪。
いい感じです。
町のラーメン屋さんも小さな映画館も、再開発の波にのまれて消えていきます。
こうしたささやかなコミュニティが失われていくのもさみしいですね。

本作の題名は山村暮鳥の詩「自分は光をにぎってゐる」から来ています。

光とは「夢」とか「希望」のような意味でしょうか。
自分は確かに光をにぎっているのだけれど、
その握りこぶしを開くと中が空っぽなのではないかと恐れる
・・・というような、なんだか切実さを感じる詩。

<WOWOW視聴にて>

 

「わたしは光をにぎっている」

2019年/日本/96分

監督:中川龍太郎

出演:松本穂香、光石研、渡辺大知、徳永えり、吉村界人

 

下町度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



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