映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

星ガ丘ワンダーランド

2018年10月24日 | 映画(は行)

母に対する双方の思い

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星ガ丘駅で働く温人(はると)(中村倫也)は、幼い頃母に捨てられたという過去があります。
そんな彼は駅の落とし物の管理を担当。
落とし物を見てはその持ち主をどんな人物可想像し、そのイラストを書いているのです。
そんなある日、家を出て再婚していた母が自殺したとの知らせが・・・。
自殺というのが信じられない温人でしたが、
警察には「家族ではないから、事件の詳しい捜査内容は教えられない」と言われ、傷ついてしまいます。
そんな温人のもとに、母の再婚相手の連れ子、七海(佐々木希)が訪れて・・・。

子供の頃の温人が母と別れてからおよそ20年。
その時街にあった遊園地の「星ガ丘ワンダーランド」は、
今はすっかり寂れて営業も停止し、近く撤去が予定されているのです。
そうした長い時間を、温人は「母のない子」のまま過ごしてきた・・・。
死なれたのよりもなおつらそうです、「捨てられた」という感覚。



一方、義理の母を受け入れた七海とその弟・雄哉(菅田将暉)は、
義母のことを好きではあったのですが、
それでもやはりどこか本当の母ではないというところにわだかまりを持っていたのです。





双方の喪失感と違和感。
ここではその当の母本人の心情はついに明かされないまま逝ってしまったわけで、
兄弟たちの永遠に満たされないという思いが、切ない・・・。



ただ、双方のそんな思いが、わずかに共感を呼びぬくもりを感じさせるというところがいいですね。
例によって、何の予備知識もなく見始めて、
主人公が中村倫也さんだったので、驚きました。
えーと3年前の作品ですか。
おなじみの“マーくん”とはずいぶんイメージが違いますが、
さすが“カメレオン俳優”といわれるだけあります。
こんな頃からもう主役をやっていたんですね。
私の認識が遅れすぎ・・・?
しかも、けっこう豪華キャスト。
今、拾い物の作品ですよ。

「星ガ丘ワンダーランド」スタンダード・エディション [DVD]
中村倫也,新井浩文,佐々木希,菅田将暉,杏
キングレコード



<WOWOW視聴にて>
「星ガ丘ワンダーランド」
2015年/日本/111分
監督:柳沢翔
出演:中村倫也、新井浩文、佐々木希、菅田将暉、杏、木村佳乃
母を思う度★★★★☆
満足度★★★★☆