映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

かごの中の瞳

2018年10月10日 | 映画(か行)

妻を支配下に置けなくなった時・・・

* * * * * * * * * *


夫ジェームズ(ジェイソン・クラーク)の赴任先、タイのバンコクで
穏やかな結婚生活を送るジーナ(ブレイク・ライブリー)。
彼女は子供の頃の交通事故で失明していたのですが、
この度、角膜移植により、片方の視力を取り戻すことになったのです。
目が見えるようになったジーナは、これまで眠っていた好奇心や冒険心が目覚めていきます。
夫はそのような妻の変化に戸惑い、そしてまた逆に疎ましく感じるようになっていきますが・・・

妻と夫の心理サスペンス。
ジェームズは、真面目で面白みのない男。
・・・しかし善良とは言い難いところがあります。
街なかで、視覚障害者である妻からしばし距離をとって、
妻の困っている様子を眺めていたりすることもありました。
彼は妻を自分の手中において支配することで自分を満足させていたように見受けられるのです。
傍目には思いやりに溢れた優しい夫ではあり、ジーナもそのことに満足していたのです。
その時までは。



ところが視力を取り戻したジーナは、最初に夫の顔を見て思う。
想像していたのとはイメージが違うと・・・。
つまりもっとイケてる感じを期待していたわけですが、無論そんなことは口に出しません。
けれど、ジェームズは妻の本当の性格を知らなかったのです。
本来奔放で冒険心に富んでいる。
特に性的嗜好はかなりカゲキ。
服装も派手になってイキイキし、どんどん美しくなっていく妻。
ジェームズは妻に対しての優位性を失い、劣等感と置いていかれるような焦燥感を持ちはじめて・・・。
踏み出してはいけない方向に進み始めてしまいます。

見くびっていた女がどんどん大きくなって夫を飲み込んでいく・・・、
まあ女性の立場としては胸のすく作品ではあります。
こんな感情のひりひりした夫婦関係はイヤですけれど。
サスペンスとしてはなかなか良かったのでは。


 

<ディノスシネマズにて>
「カゴの中の瞳」
2016年/アメリカ/109分
監督:マーク・フォースター
出演:ブレイク・ライブリー、ジェイソン・クラーク、アナ・オライリー、イボンヌ・ストラホフスキー、ウェス・チャサム

夫婦のヒリヒリ度★★★★☆
サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆