これは8月5日の記事の続き。
私が中国貿易商社に入社したのは、1987年。
同期の女性は食品に配属されたんだけど、一年でとつぜん結婚退社しました。
彼女は中国語学科卒、めざせキャリア(当時の流行)、
けっこう社会派(?)で、千葉敦子の本など薦められた私は、読んで、
(ほほー。この作者は病気になられたのは気の毒だが、しかし女性一人、海外に住むとは、世の中には奇特な人もいるもんじゃのう)などと思っていた。
→まさか自分がその千葉敦子の年に中国に住んでるとは!!!
人生、わからん……。
さて、そんな彼女がやめるときに言っていたのは、
「食品の輸入って、自分が社会にいいことしているとは思えない……」
私が、中国は不良品ばかり作りよって、この私に残業ばかりさせて、どう成敗してくれようか~、と、私怨(?)に燃えていた頃に(でも自分の開発した服を着てる人を街で見かけるとうれしい)、アンタそんなことを考えていたのか……。
まあ、服ってあまり罪ないからね。
「港湾倉庫の野積みなんてすごいよ。ほら、クレーム写真。何年もそのままだったりするのよ」
どひゃ~、山菜、桶からはみ出してる。野ざらし山菜。
そうやわな。駅の山菜そば、350円、よく考えたら日本人が手で山菜摘んで、そんな値段で出せるわけがない。もちろんスキー場とかの「山菜」も、大半が当時から中国製。
最近でこそキューリの○○ちゃんも、「キュウリ、中国製」とか書くようになったらしいけど、長らく、「最終加工地」が「原産国」でOKでした。
これは服もいっしょで、よくアパレルの人が冗談で、「タグ、一枚つけても加工は、加工。これで日本製にしてまうか~」などと言ってた。まあ、アパレルは意味がないんでほとんどやらないが。
「検査とかもすごい、いいかげんでね。なんとでもできるし」
これはわかる。輸入貨物全量検査なんてありえないし、
抜き取りっていっても、たいていは輸入業者が抜き取ったのを持っていく。
だいたい輸入検査の人って人手不足で、見えない品質より、まず麻薬とか密輸が大変で、
一般貨物にまでかまってられない、というのが正直なところ。
となりの食品課で、「活鰻(カツマン)、中国側の書類不備で通関遅れで全滅!」などという声を聞くと、私は、
(どうせ死んだのなら、今夜のおかずに一匹くれんかのぉ。できれば蒲焼にして)
などと思っていたが、あれ、活きたまま持って来る場合、ナイロン袋に鰻をぎっしり入れて、酸素詰めて(薬剤の時もある)、飛行機で運んでくる。
今は蒲焼冷凍で飛んでくるけど。
よく考えたら、家の水槽のグッピーでも薬入れるのに、水が高くてふんだんに変えられない中国のスーパーの生簀とか、薬剤だらけだろうな。
(昨日、鮮エビ買ったけど、どうも怪しくて廃棄(涙)。もったいない)
別に前の会社をかばうわけではないけど、
私がいたのは、流通系のいわゆる海外部が発展して商社になったところで、
売り先に困らないのと、消費者団体に非常に叩かれやすいため、普通の大商社、卸よりはかなり良心的だったと思う。
服も全部、自社で検査機関に出して二重検査してたもん。←ダサいのとは別。
ただ港湾倉庫って、無法地帯で、
せっかく染料の残留ホルマリン検査に合格したベビー服が、油断すると、刷りたてで眼の痛くなるようなカレンダーの横(インキも100%無害じゃないから)に置かれ、空気汚染されぬうちに移したりしてた。(どこに置くかでコストが全然違う。同じ倉庫内でも、よく動くものは前の方に置いておかないと人件費ばかりかかるし、パズルの組み立てが倉庫業の腕の見せ所)。
まあ、当時は今みたいに何でもかんでも輸入していたわけじゃないし、山菜そばを食べる!たびに感慨にふけるぐらいですんだが、「野積み」が話題になりだしたのは、やっぱり近年かな。
野積みの写真(これ、本サイトが見られません)
これを見て、(今はきれいになったのね…)と思った私。
現実はたぶんもうちょっとひどいかも。
港湾て夏、すっごい温度になる。
野積みされた玉ネギ、カボチャ、腐りかかった産物にびっくり
そんなもの食べるんですか? キタトマ農作業日誌
以前、輸出入業に携わっていながら、こういうのもなんだが、
思うのは、保存食ならまだしも、やっぱ「生鮮食品」を遠い距離を持ってくるのって、本質的にムリがあることだ、ていう認識がいると思う。
「素性の知れない食べ物」なわけで。
中国の食品がひどいのとこれはまったくの別問題だけど、
中国の掲示板に見る汚染食品一覧
↑ いや、こんなのばかりじゃないが、やはりかなり怪しいのも事実。
ただ問題はもうこういう輸入食品がないと、生命維持? が成り立たない人もいっぱいいるのが2007年の日本で、いやお金があっても口にしていると思う。
単純に中国を叩いてスッキリ、て訳にはいかないのよん。買っているのは日本だし。
私、中国に行くとき、某愛国編集者から、
「いいですか、谷崎さん。国籍目当てで中国の男に騙されませんように!」
「……(心配してくれている、と思っておこう))」
「私は中国製品は買いません!」
「……(この人が今日行く、社内食堂のご飯の中にぜったい中国産あるわ)」
いや、「グローバル社会」って、やっかいやわな。
というわけで、次回は続きで「中国食品安全 その2 農薬ブーメラン」です。
私が中国貿易商社に入社したのは、1987年。
同期の女性は食品に配属されたんだけど、一年でとつぜん結婚退社しました。
彼女は中国語学科卒、めざせキャリア(当時の流行)、
けっこう社会派(?)で、千葉敦子の本など薦められた私は、読んで、
(ほほー。この作者は病気になられたのは気の毒だが、しかし女性一人、海外に住むとは、世の中には奇特な人もいるもんじゃのう)などと思っていた。
→まさか自分がその千葉敦子の年に中国に住んでるとは!!!
人生、わからん……。
さて、そんな彼女がやめるときに言っていたのは、
「食品の輸入って、自分が社会にいいことしているとは思えない……」
私が、中国は不良品ばかり作りよって、この私に残業ばかりさせて、どう成敗してくれようか~、と、私怨(?)に燃えていた頃に(でも自分の開発した服を着てる人を街で見かけるとうれしい)、アンタそんなことを考えていたのか……。
まあ、服ってあまり罪ないからね。
「港湾倉庫の野積みなんてすごいよ。ほら、クレーム写真。何年もそのままだったりするのよ」
どひゃ~、山菜、桶からはみ出してる。野ざらし山菜。
そうやわな。駅の山菜そば、350円、よく考えたら日本人が手で山菜摘んで、そんな値段で出せるわけがない。もちろんスキー場とかの「山菜」も、大半が当時から中国製。
最近でこそキューリの○○ちゃんも、「キュウリ、中国製」とか書くようになったらしいけど、長らく、「最終加工地」が「原産国」でOKでした。
これは服もいっしょで、よくアパレルの人が冗談で、「タグ、一枚つけても加工は、加工。これで日本製にしてまうか~」などと言ってた。まあ、アパレルは意味がないんでほとんどやらないが。
「検査とかもすごい、いいかげんでね。なんとでもできるし」
これはわかる。輸入貨物全量検査なんてありえないし、
抜き取りっていっても、たいていは輸入業者が抜き取ったのを持っていく。
だいたい輸入検査の人って人手不足で、見えない品質より、まず麻薬とか密輸が大変で、
一般貨物にまでかまってられない、というのが正直なところ。
となりの食品課で、「活鰻(カツマン)、中国側の書類不備で通関遅れで全滅!」などという声を聞くと、私は、
(どうせ死んだのなら、今夜のおかずに一匹くれんかのぉ。できれば蒲焼にして)
などと思っていたが、あれ、活きたまま持って来る場合、ナイロン袋に鰻をぎっしり入れて、酸素詰めて(薬剤の時もある)、飛行機で運んでくる。
今は蒲焼冷凍で飛んでくるけど。
よく考えたら、家の水槽のグッピーでも薬入れるのに、水が高くてふんだんに変えられない中国のスーパーの生簀とか、薬剤だらけだろうな。
(昨日、鮮エビ買ったけど、どうも怪しくて廃棄(涙)。もったいない)
別に前の会社をかばうわけではないけど、
私がいたのは、流通系のいわゆる海外部が発展して商社になったところで、
売り先に困らないのと、消費者団体に非常に叩かれやすいため、普通の大商社、卸よりはかなり良心的だったと思う。
服も全部、自社で検査機関に出して二重検査してたもん。←ダサいのとは別。
ただ港湾倉庫って、無法地帯で、
せっかく染料の残留ホルマリン検査に合格したベビー服が、油断すると、刷りたてで眼の痛くなるようなカレンダーの横(インキも100%無害じゃないから)に置かれ、空気汚染されぬうちに移したりしてた。(どこに置くかでコストが全然違う。同じ倉庫内でも、よく動くものは前の方に置いておかないと人件費ばかりかかるし、パズルの組み立てが倉庫業の腕の見せ所)。
まあ、当時は今みたいに何でもかんでも輸入していたわけじゃないし、山菜そばを食べる!たびに感慨にふけるぐらいですんだが、「野積み」が話題になりだしたのは、やっぱり近年かな。
野積みの写真(これ、本サイトが見られません)
これを見て、(今はきれいになったのね…)と思った私。
現実はたぶんもうちょっとひどいかも。
港湾て夏、すっごい温度になる。
野積みされた玉ネギ、カボチャ、腐りかかった産物にびっくり
そんなもの食べるんですか? キタトマ農作業日誌
以前、輸出入業に携わっていながら、こういうのもなんだが、
思うのは、保存食ならまだしも、やっぱ「生鮮食品」を遠い距離を持ってくるのって、本質的にムリがあることだ、ていう認識がいると思う。
「素性の知れない食べ物」なわけで。
中国の食品がひどいのとこれはまったくの別問題だけど、
中国の掲示板に見る汚染食品一覧
↑ いや、こんなのばかりじゃないが、やはりかなり怪しいのも事実。
ただ問題はもうこういう輸入食品がないと、生命維持? が成り立たない人もいっぱいいるのが2007年の日本で、いやお金があっても口にしていると思う。
単純に中国を叩いてスッキリ、て訳にはいかないのよん。買っているのは日本だし。
私、中国に行くとき、某愛国編集者から、
「いいですか、谷崎さん。国籍目当てで中国の男に騙されませんように!」
「……(心配してくれている、と思っておこう))」
「私は中国製品は買いません!」
「……(この人が今日行く、社内食堂のご飯の中にぜったい中国産あるわ)」
いや、「グローバル社会」って、やっかいやわな。
というわけで、次回は続きで「中国食品安全 その2 農薬ブーメラン」です。