MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』

2018-03-26 22:06:02 | goo映画レビュー

原題:『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』
監督:牧口雄二
脚本:志村正浩
撮影:塚越堅二
出演:田島はるか/ひろみ麻耶/芹田かおり/藤ひろ子/佐藤美鈴/志賀勝/折口亜矢
1977年/日本

情念の過剰さとコミカルな演出について

 主人公で女郎のおみのは年季が明けて奉公が終わると思っていたのだが、女衒の弥多八と亀に気に入られしまい性交を試みるものの弥多八のモノは勃たず、別の宿場に売られようとする直前に、「愁月院」という駆け込み寺の噂を聞いて逃亡する。
 弥多八と亀に追われながら逃走中に出会った留次と捨松にも犯されてしまうのだが、伊三郎という隠密に助けられたりもしてようやくおみのは「愁月院」の庵主である桂秀尼に救われる。
 おみのは一人で来たために気がつかなかったのだが、実は「愁月院」は女性のための駆け込み寺というよりも男性を処罰する殺人寺で、桂秀尼を初め、おかじ、おつな、おとくと小間使いの少女のお小夜も男性に憎悪を抱いており、駆け落ちしてきた嘉助とお絹が寺に助けを求めてやって来ても、翌日には嘉助は寺男によって殺されており、それを見たお絹は首を吊って自殺してしまうのである。
 その後も、おみのを追いかけてきた留次と捨松は殺され、弥多八と亀は捕らえられ、伊三郎も殺されたことでおみのは桂秀尼たちを殺す決心をするのだが、最初の策略には脚本の瑕疵があると思う。おみのはおつなのペットのネコを殺し、おつなはおかじの仕業だと思っておかじのペットの蛇をぐつぐつとお湯が沸いた大鍋にぶち込んで殺してしまうのであるが、おつなが最初に疑うべき人物はおかじではなく新入りのおみののはずなのである。上映時間が短いためなのかストーリーの流れが不自然だと思う。
 その後の怒涛の展開は観てもらうとして、最後は桂秀尼を刺殺したおみのを背後から刺殺するお小夜だけが生き残る。お小夜には男に襲われた際に助けてくれた桂秀尼に恩があったのである。
 寺が焼失した後に初潮を迎えたお小夜が一人で歩いている。それはまた同じ過ちが繰り返されるメタファーかと思われたが、BGMの最後がメジャーコードで終わったことでお小夜には明るい未来が待っているのかもしれない。よく出来た作品だと思うが、やり過ぎた演出のためなのか少々コミカルになってしまっていることで女の情念を殺いでしまっている。
 主人公のおみのを演じた田島はるかが泥水の川の水を飲まされたり、地面に落ちたおにぎりを食べさせられたりとかなり過酷な演技を強いられていることが気になる。


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