MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ホドロフスキーのDUNE』

2014-12-28 00:04:32 | goo映画レビュー

原題:『Jodorowsky's DUNE
監督:フランク・パヴィッチ
撮影:デヴィッド・カヴァロ
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー/ミシェル・セドゥー/H・R・ギーガー
2013年/アメリカ

どんな形であっても作品が完成する幸せについて

 もしかしたらどんな酷い脚本であったとしてとりあえず作品として完成させられたのなら運が良い方なのかもしれないと本作を観て思った。上のポスターの中央にある分厚い本はアレハンドロ・ホドロフスキー監督が『DUNE』を撮るためにメビウス、クリス・フォス、ダン・オバノンやH・R・ギーガーも加わって書いた膨大な絵コンテ付きの脚本である。
 この脚本は複数の大手映画会社に送られたのだが、結局、ホドロフスキーが監督を務めることは叶わなかった。ところが監督本人に拠るならばこの脚本から、やがて『スター・ウォーズ』(ジョージ・ルーカス監督 1977年)、『エイリアン』(リドリー・スコット監督 1979年)、『フラッシュ・ゴードン』(マイク・ホッジス監督 1980年)や『バタリアン』(ダン・オバノン監督 1985年)などにその要素やアイデアが受け継がれ、SF映画の礎を築くことになったらしいのであるが、肝心の『DUNE』はデヴィッド・リンチ監督によって1984年に映画化までこぎ着けたものの、カルト的な人気はあるようだが、興行的には大失敗してしまう。
 しかし当時ホドロフスキーは既に『エル・トポ』(1969年)や『ホーリー・マウンテン』(1973年)を一応興行的にも成功させており、『DUNE』を監督させても問題はなかったと思うが、本人が12時間、あるいは20時間の上映時間となるなどと言えば、さすがにプロデューサーがリスクが大きすぎると感じたとしても仕方がないとしても、『DUNE』に対してホドロフスキーほどの情熱を持った監督が他にいるだろうかと本作を観て考えさせられる。ホドロフスキーは既に85歳。元気旺盛であることはわかるけれども、今から『DUNE』はさすがに無理だろうね。


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