MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『栄光のランナー/1936ベルリン』

2016-08-25 00:00:43 | goo映画レビュー

原題:『Race』
監督:スティーヴン・ホプキンス
脚本:ジョー・シュラプネル/アナ・ウォーターハウス
撮影:ピーター・レヴィ
出演:ステファン・ジェイムス/ジェイソン・サダイキス/ジェレミー・アイアンズ
2016年/アメリカ・ドイツ・カナダ

「力」と「美」が組み合わさった影響力の小ささについて

 1936年のベルリンオリンピックにおいてアメリカの代表選手として男子短距離と跳躍種目などで優勝し4冠を成し遂げたジェシー・オーエンス(Jesse Owens)の半生が描かれている。黒人のジェシーがユダヤ人への人種差別政策を掲げているアドルフ・ヒトラーが率いるナチスが支配しているベルリンで開催されるオリンピックに参加することに黒人団体からもボイコットを促される場面など見ると、それならば当時、黒人差別が厳しいアメリカでアスリートとして活躍する意義でさえ怪しくなってしまい、もはや差別が酷すぎて訳が分からなくなっている。
 しかしここで見逃してはならないことは、ベルリンオリンピックのドキュメンタリー映画の監督としてレニ・リーフェンシュタール(Leni Riefenstahl)という女性が担っていることである。当時を鑑みれば人種同様に性別においても差別がある中、それがヒトラーの気まぐれであったにしても差別されている一方の者が「力」で、他方の者が「美」で偶然組み合わさったことが、ヒトラーが当初企てていたオリンピックのプロパガンダ化を阻止したはずなのであるが、2人の努力も空しくその後も黒人も女性もその社会的地位が上がることは困難を極めるのである。


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