MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ベニスに死す ニュープリント版』 100点

2007-04-24 19:54:44 | goo映画レビュー

ベニスに死す ニュープリント版

1971年/イタリア=フランス

ネタバレ

「ベニス」の意味

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 ミュンヘンに住む初老の作曲家グスタフ・アシェンバッハは病気療養のためヴェネチアのリド島へ行く。彼は幼い娘と死に別れ、新曲は観客たちの酷評を受けたりと精神的にも疲れ切っていた。彼は現実が堕落をもたらし、自分の音楽で英知や真理や人間的尊厳を創造しようと考えていたが、彼の友人のアルフレッドは天才は天から与えられた狂気であり、自然が贈った罪深いひらめきなのだから、邪悪は必要だと説く。気を紛らすために売春宿に行ったが、邪悪さに嫌悪を感じている彼は結局何も出来なかった。
 グスタフは同じ頃バカンスでヴェネチアに家族と一緒に来ていた美少年のフランス人タージオ・モールズを見て、そのあまりの美しさに魅せられてしまう。グスタフはヴェネチアにアジアコレラが流行っていることを知り、ミュンヘンに帰ろうとしたがタージオを忘れることが出来ず、リド島に戻ってしまう。恋愛に目覚めたグスタフはタージオと対面してもおかしくない様に髪を黒く染めて、口紅やファンデーション、アイシャドーを塗り、タージオの後を追いかけるが結局一言も声をかけられないでいた。タージオと関係を持つことは美を汚すことになるからだ。グスタフにとってタージオはまさに彼が創造したかった真理や美だったが、追いかけても声をかけられなかったということは結局人間には真理や美は手の届かないものであり、それを人間が手にした瞬間に真理や美でなくなってしまうということなのだ。
 ラストシーンで、黒い染料で汚れるグスタフの美しく化粧を施された顔と、コレラに侵されるベニス(=ヴィーナス、美と愛の女神)が重なり合い涙を誘う。グスタフは‘美’に死ぬのだ。


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