原題:『風の電話』
監督:諏訪敦彦
脚本:諏訪敦彦/狗飼恭子
撮影:灰原隆裕
出演:モトーラ世里奈/西島秀俊/三浦友和/渡辺真起子/山本未來/西田敏行
2020年/日本
主人公が「素」であることの意味について
主人公の17歳の高校生のハルは東日本大震災で家族を失い、今は広島県呉市に住んでいる伯母の広子に引き取られて暮らしているのだが、広子が病に伏して入院したことをきっかけにハルはヒッチハイクで9年振りに岩手県大槌町にあった実家に帰る決心をする。
要するにロードムービーで、テーマは震災に限らず日本におけるクルド人などの難民問題も扱っているのだが、主人公のハルを演じたモトーラ世里奈はあくまでも「素」のままでドキュメンタリー的な要素を残し、冒頭で平成30年7月に起きた呉市の災害跡地に横になるハルをベテラン俳優陣たちが連携しながら大槌町の家があった跡地で再びハルが横たわるまでをサポートしているように見える。意外と退屈にならないところがすごいと思う。