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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ベル・カント とらわれのアリア 』

2020-02-12 12:23:29 | goo映画レビュー

原題:『Bel Canto』
監督:ポール・ワイツ
脚本:ポール・ワイツ/アンソニー・ワイントラーブ
撮影:トバイアス・デイタム
出演:ジュリアン・ムーア/渡辺謙/加瀬亮/セバスチャン・コッホ/エルザ・ジルベルスタイン
2018年/アメリカ

占拠事件の緊張感の無い演出について

 1996年に実際に起こった在ペルー日本大使公邸占拠事件にインスパイアされたアン・パチェットの小説『ベル・カント』を原作とした作品なのだが、パーティーが開かれていた副大統領邸がテロリストに占拠された深刻な事件の割には邸内の緊張感は薄く、見張りの目をかいくぐって主人公で日本人実業家のホソカワと有名なソプラノ歌手のロクサーヌ・コスがベッドインできたり、ホソカワの通訳を務めているゲンと女性のテロリストが恋愛関係に陥り、愛し合ったりしているのである。そもそもその通訳の名前が「ワタナベ・ゲン」で余りにも安易すぎる。
 しかし本作の最大の問題は時間経過が全く分からないことである。テロリストの首謀者が最初の一週間は壁に目印を付けていたので分かったが、その後、どれくらいの時間をかけて人質が救出されたのか(実際の事件は約四か月)全くもって分からないために、緊迫感が無くなったと思う。歌の吹き替え時のジュリアン・ムーアの、ルネ・フレミングの声の口パクも口が上手く合っておらず、もはや演出そのものに緊張感が感じられないのである。


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『オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁 』

2020-02-12 00:53:43 | goo映画レビュー

原題:『冰峰暴』 英題:『Wings Over Everest
監督:ユー・フェイ
脚本:ユー・フェイ
撮影:ライ・イウファイ
出演:役所広司/張静初/林柏宏/ビクター・ウェブスター/ノア・ダンビー/ババック・ハーキー
2019年/中国・日本

中国人監督の「エベレスト感」について

 本作をわざわざ映画館まで行って観る動機があるとするならば、ハリウッド映画の『エベレスト 3D』(バルタザール・コルマウクル監督 2015年)と日本映画『エヴェレスト 神々の山嶺』(平山秀幸監督 2016年)を観ている流れで、それならば中国人監督はエベレストをどのように描くのか興味を持ってしまったからである。
 さすが中国映画といっても良いと思うのだが、ある意味「スケール」が全く違っていた。もはや人間の体力の限界とか酸素の残量とか完全無視でヒロインのシャオタイズ(小袋子)が標高8848メートル、氷点下83℃のエベレストの頂上に酸素ボンベ無しにあっという間にたどり着いてしまった時には呆然を通り越して笑ってしまった。
 せめてラストでエベレストから救助されて戻っていたヘリパイロットのハン・ミンシャン(韓敏勝)が彼女は実在したのだろうかと思案しながらシャオタイズの行方を捜すという物語の流れから全てが幻だったというストーリー展開ならば面白かったのだが、そのシャオタイズは数年前に遭難しそうになった際に恋人に「2030」というメッセージを受け取っており、それは白鳥座の概略位置で「赤経20h30m」を表し、新しい人生を歩んで欲しいという意味だったにも関わらず、恋人の遺体を見つけて、その恋人を見ながら亡くなってしまい、恋人の配慮が台無しなのである。エベレストはハードルが高すぎたのである。


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