原題:『ブルーアワーにぶっ飛ばす』
監督:箱田優子
脚本:箱田優子
撮影:近藤龍人
出演:夏帆/シム・ウンギョン/渡辺大知/黒田大輔/上杉美風/伊藤紗莉/でんでん/南果歩
2019年/日本
「楽園」の正体について
『楽園』(瀬々敬久監督 2019年)を観た後だったために、都会の生活に疲れた主人公が田舎に帰ってどのようになるのか興味を持った。
主人公は30歳のCMディレクターで澄夫と結婚しているが同僚の富樫晃と不倫もしている砂田夕佳である。澄夫は優男で物足りず、富樫は肝心の仕事の時には頼りにならず、夕佳のフラストレーションは溜まる一方で、そんな時に入院している祖母を見舞いに、故郷の茨城県に帰ろうかどうしようか迷っている時に、友人の清浦あさ美に急き立てられて一緒に車で行くことになる。
しかしネタバレになるが、清浦あさ美は砂田夕佳の「分身」で家族とは接しても決して地域の人たちと密接に交わることはないのだから、帰り着いた場所というのは故郷というよりも正にブルーアワーと呼ばれるつかの間の「理想の楽園」でしかなく、結局、砂田は都会に戻るしかないのではないだろうか。
主人公の砂田を演じた夏帆の演技が素晴らしいことは言うまでもないが、出来れば砂田が地元で撮った映像を編集したものを見てみたかった。そこに何等かの「答え」があるはずだからである。