原題:『ごっこ』
監督:熊澤尚人
脚本:熊澤尚人/髙橋泉
撮影:今村圭佑
出演:千原ジュニア/優香/平尾菜々花/ちすん/清水富美加/秋野太作/中野英雄/石橋蓮司
2018年/日本
「ごっこ」にしか見えない芸人の演技について
本作を観ようと思ったきっかけは主人公を演じた千原ジュニアが『にけつッ!!』というトーク番組で本作の助監督の悪口を散々言っており、そんな段取りの悪い助監督がかかわっている作品の出来が気になったからである。
主人公の城宮がヨヨ子を「誘拐」した後に、城宮がネットで行方不明者の捜索願の届け出の状況を検索した日は2018年9月である。ところが城宮がアルバイトをするために生花市場に提出した履歴書は平成27年だったし、ラストで13年後に高校3年生になったヨヨ子が見せた大学の法学部の合格証には「平成40年」と書かれており、確かにゴタゴタしている感じは伝わって来る。
誘拐されたヨヨ子を探さなかった実の母親はその理由を、双子で病弱の楓のために自分の臓器を移植しようとしてヨヨ子(=紅葉)が自傷行為をするからというものなのだが、5歳の女の子がそのようなことをするとは考えにくく、それは母親の言い訳で実は難病の娘を持ったストレス発散のための虐待だと城宮は疑っており、結局その真偽は分からないまま城宮は母親を絞殺してしまうのである。
母親が実の娘を探さない理由も城宮が母親を殺す理由もよくわからないのであるが、そもそも城宮は5歳のヨヨ子の首も絞めたことがあり性格に相当難があると思うし、何よりも本作で問題なのは芸達者な人たちに囲まれてしまった当の千原ジュニアの演技があまりにも酷過ぎることに尽きるのではないだろうか。