MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『T2 トレインスポッティング』

2017-04-25 00:07:11 | goo映画レビュー

原題:『T2 Trainspotting』
監督:ダニー・ボイル
脚本:ジョン・ホッジ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
出演:ユアン・マクレガー/ユエン・ブレムナー/ジョニー・リー・ミラー/ロバート・カーライル
2017年/イギリス

麻薬常習者が「勝ち組」になる方法について

 あれから20年経ったらしい。主人公のマーク・レントンは逃走先のオランダのアムステルダムからスコットランドのエディンバラへ戻ってきた。マークはかつての悪友だったサイモン・ウィリアムソン(=シック・ボーイ)やダニエル・マーフィー(=スパッド)や、会いたくなかったフランシス・ベグビーと再会することになり、一騒動起きて死にかけるのであるが、そもそも大金を手に入れてとんずらした男が何故わざわざ戻ってきたのか?
 若い間は、平凡な生き方よりも「誠実で真実あふれる麻薬の習慣」を持つ麻薬常習者になることに何のためらいもなかったはずだが、老いが忍び寄るにしたがって体が耐えられなくなってきたのであろうし、やがて精神的にも追い詰められるということを若いうちには想像できないものなのである。
 そういう意味ではマークは挫折してしまったのであるが、ここで意外な人物にスポットライトが当てられる。マークよりも重度の麻薬常習者であるスパッドには文才があり、サイモンのガールフレンドだったヴェロニカ・コヴァチが彼の才能を見いだすのである。首を吊って自殺しようとするまで追い詰められ、4人の中でも生きる意欲もなく全く希望を見いだせないでいたスパッドが大逆転劇を演じるところに、老いてなお相変わらずの痛快さが本作にはある。


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