goo blog サービス終了のお知らせ 

MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ランブルフィッシュ』

2017-04-08 19:31:03 | goo映画レビュー

原題:『Rumble Fish』
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:フランシス・フォード・コッポラ/S・E・ヒントン
撮影:スティーブン・H・ブラム
出演:マット・ディロン/ミッキー・ローク/ダイアン・レイン/デニス・ホッパー/ニコラス・ケイジ
1983年/アメリカ

 爽快感が全く感じられない青春映画について

 本作を観終わった後、これがあの『ゴッドファーザー』(1972年)を撮った監督の作品なのかというほどストーリーの無さに驚くのであるが、もちろんこれは当然のことながら敢えてストーリーを回避したと捉えるべきであろう。それならば、その回避されたストーリーとは何かと勘案するならば、『ゴッドファーザー』と対照的な反「ヒーロー」の物語であろう。
 主人公で高校生のラスティ・ジェームズはいずれは地元のオクラホマ州のタルサの街を牛耳ろうと目論んでいるのだが、恋人のパティとは上手くいっておらず、カリフォルニア帰りの兄のモーターサイクルボーイはかつての面影を無くしニヒルな男になってしまい、父親は相変わらず飲んだくれている。
 唯一、モーターサイクルボーイが夢中になるものが「ペット・ショップ(Pet Store)」で育てられているランブルフィッシュである。本作で唯一鮮やかなカラーが施されているのはこのランブルフィッシュだけで、その意図を推し量るならば自分たちは「ランブルフィッシュ(=ゴッドファーザー)」を観て楽しむが、現実には大抵喧嘩の結末は悲惨なものになり諍いを起こすことにメリットは見いだせないということであろう。だからモーターサイクルボーイは命がけでランブルフィッシュを守り、弟のラスティ・ジェームズには街から逃げろとアドバイスし、結果的に起承転結の無いストーリーになってしまっているのであるが、「粋がるな」というのが本作に託した監督のメッセージであるならばそれは受け入れるしかないのである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする