原題:『Finding Dory』
監督:アンドリュー・スタントン/アンガス・マクレーン
脚本:アンドリュー・スタントン/ヴィクトリア・ストラウス
撮影:ジェレミー・ラスキー
出演:エレン・デジェネレス/アルバート・ブルックス/ヘイデン・ローレンス
2016年/アメリカ
冒険の「さじ加減」について
主人公のナンヨウハギのドリーが両親を探すために猪突猛進できる理由は健忘症という病を抱えているからだと思うが、それは本作の前に上映される短編アニメーション『ひな鳥の冒険(Piper)』(アラン・バリラーロ監督 2016年)の主人公のシギのひな鳥が自分自身で餌を取るために海の水を少しずつ克服していく姿と対照性を成す。
そうなるとエンドクレジット後に現われる観賞魚のギルが率いる「タンク・ギャング」たちはどのような意味を持つのか勘案するならば、歯科診療所の水槽から脱出するものの、その後約1年間入れられていた袋から出られないまま海をさまよい、ようやくカリフォルニアのモロ・ベイにたどり着いた矢先に人間に捕えられてしまう有様を見た時、私たちはやはり「袋」の中で楽に冒険するよりも、ドリーはやりすぎの感はあるものの成長するためには多少は危ない目に遭うべきだというメッセージを受け取るのである。