MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『劇場霊』

2015-11-26 00:58:25 | goo映画レビュー

原題:『劇場霊』
監督:中田秀夫
脚本:加藤淳也/三宅隆太
出演:島崎遥香/足立梨花/高田里穂/町田啓太/中村育二/小市慢太郎/柳憂怜
2015年/日本

3つの物語の緊密具合について

 事件の発端は20年前。3姉妹の父親は人形作りを生業にしていたが、ある日、長女が豪雨の中でクルマを運転中に崖崩れに遭遇し、亡くなってしまう。長女の亡骸の状態が余りにも酷かったために父親は長女とそっくりの人形を制作して、きれいな体で棺に納めて送り出そうとしたのであるが、その人形が生命を宿し、2人の妹を殺してしまう。父親はその人形を担いで自分の部屋に連れていき、体をぶつ切りにした後に、灯油を撒いて火を放とうとしようとしたところを駆けつけてきた警察に取り押さえられ、連行されてしまい、辛うじて生き残った人形の「頭」が20年後に再び事件を起こすのである。
 主人公の沙羅は、若さを保つために少女たちの鮮血を浴びていた実在の貴族エリザベート(=エリーザベト・バートリ?)の生涯を描く新作舞台『鮮血の呼び声』で端役を得たのであるが、人形の「頭」が使われていた球体関節人形が女性美術スタッフや主役を演じるはずだった葵など次々と殺していく。
 基軸となるストーリーはおそらく、父親の代わりに舞台監督を、2人の妹の代わりに葵と香織を殺した長女が沙羅に乗り移って生きていくというものであろうが、クライマックスにおいて警察も巻き込んだ大量死により物語の輪郭がぼやけてしまっており、もう少しストーリーに深みを持たせるために人形師の家族の設定とエリザベートの物語と舞台演劇を密に寄せるべきだったように思うが、主演を演じた島崎遥香は健闘していると個人的には思う。


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