MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『明日へ』

2015-11-11 00:11:55 | goo映画レビュー

原題:『Kateu
監督:プ・ジヨン
脚本:キム・ギョンチャン
撮影:キム・ウヒョン
出演:ヨム・ジョンア/ムン・ジョンヒ/キム・ヨンエ/キム・ガンウ/ド・ギョンス
2014年/韓国

女性の「武器」としてのショッピングカートについて

 大手スーパーマーケットである「ザ・マート」を運営している企業が契約社員を派遣にし、正社員を契約社員にして「ザ・マート」を売却することに端を発して起こった労働争議は、実際に韓国で2007年に起こった出来事を基にしている。
 劣悪になる労働条件を受け入れられない女性従業員たちは労働組合を作って店舗を占拠してストライキなどの抵抗を試みるが、警官隊の突入により一時拘束されてしまい、その後も企業による買収などによる労働組合の内紛など厳しい戦いを強いられることになる。
 ストーリー展開の上手さを感じるところは、主人公のソニの息子の高校生のテヨンが修学旅行の費用を自分で稼ぐためにコンビニでバイトをするエピソードを組み込んでいることで、二ヵ月の約束だったにも関わらず、ほんの少し足りないということで払われるべきバイト代を受け取れなかったことでコンビニの経営者と揉めたテヨンを迎えに警察署に行った際に、ソニは息子を殴ったその経営者を「脅す」ことで満額のバイト代を手に入れるのである。
 このように個人経営の店であるならば少し話し合えば簡単に解決するのであるが、大企業が相手で、個人個人に様々な家庭の事情があるとこのように簡単には解決しないことを対照的に描いているところが分かりやすいのである。
 ところで本作の原題は「Cart」で、それは「ザ・マート」で買い物をする女性たちが使う馴染みのショッピングカートを表し、ラストにソニと同僚のヘミが店に突っ込むために団結して一緒に押していくショッピングカートを指しており、警官の警察車両に対する女性たちの「対抗車」を表しているのであるが、邦題だとそこの微妙なニュアンスがよく分からない。


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