MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『泣いてたまるか さよなら敬礼!』

2015-11-02 00:27:39 | goo映画レビュー

原題:『泣いてたまるか さよなら敬礼!』
監督:瀬川昌司
脚本:井出雅人
撮影:森隆吉
出演:渥美清/左時枝/賀原夏子/小山田宗徳/佐々木すみえ/三上真一郎/西村晃
1966年/日本

 読点の重要性について

 主人公の巡査の渡辺順三は、偶然、夜中に陸橋の上で赤ん坊をあやしている峯岸なおみという18歳の女性と出会う。なおみは母親のキンに助けてもらいながら一人で赤ん坊を育てていた。弘前出身の渡辺と下北出身の峯岸親子とは同じ青森出身ということで意気投合してから、渡辺はなおみの世話をやくようになり、赤ん坊の父親捜しや赤ん坊のために戸籍作りや彼女の服まで買ってくる。赤ん坊の父親は大山巌(がん)という遊び人で、今は山本君江という女性の「ひも」になっていた。
 なおみが大山と別れた原因が、大山が銀行ギャングだったということをキンから聞き、隠し持っていた拳銃まで見せられた渡辺は早速大山を逮捕するのであるが、実はそれは大山がなおみと別れるためのはったりで、拳銃もおもちゃだった。しかし、突然、大山が大阪で交通事故で即死し、それをなおみに伝えに行った渡辺は、なおみが太郎と名付けられた赤ん坊を手放すと言いだして、赤ん坊が大山との関係を維持するための「道具」として利用されていたことを知りがっかりしてしまう。
 民生委員の計らいで太郎は別の家庭の託され、峯岸親子は上野から故郷の青森に帰ることになるが、渡辺が2人の前に現われることはなかった。
 ここまであらすじを書いてきて、私が何を言いたいのかというと、タイトルの意味である。「さよなら敬礼!」とは、「敬礼」に「さよなら」するという意味になると思うのだが、一体「さよなら敬礼!」とはこのストーリーのどこにかかっているのだろうか? 上のタイトルではよく分からないのであるが、下のタイトルを見てみると、「さよなら」と「敬礼!」の間に読点があることが分かる。つまりこれは「さよなら、敬礼!」ということで、好きになってしまった女性に対して巡査がさよならをしながら敬礼するという意味なのである。このように読点があるのとないのとでは意味が大きく変わるのである。


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