原題:『The Transporter Refueled』
監督:カミーユ・デラマール
脚本:リュック・ベッソン/アダム・クーパー/ビル・コラージュ
撮影:クリストフ・コレット
出演:エド・スクレイン/レイ・スティーヴンソン/ロアン・シャバノル
2015年/フランス
「自爆テロ」をヒロインが演じる是非について
リュック・ベッソンの脚本はさらに逆の意味で磨きがかかり、本作においても驚くべきストーリーが展開されることになる。カラソフが率いる売春組織が既に存在する売春街を牛耳っているライバルたちを銃殺してそのまま何事もなかったかのように奪い取ってしまうという冒頭シーンの荒唐無稽さに関しては言うまでもなく、主人公のフランク・マーティンは依頼者と父親のシニアの言いなりでしかないから仕方がないが、自身が親に売られた先のカラソフに対する恨みを晴らすための依頼者のアンナの計画は滅茶苦茶で、特にラストシーンにおいて、カラソフたちの船に乗って仲間割れを誘い銃撃戦になるのであるが、明らかに自殺行為で、実際に仲間のジナ、マリア、クイアの3人は銃撃戦に巻き込まれて死んでしまい、アンナでさえたまたま撃たれなかっただけなのである。
だから例え最後にアンナが3人の遺族に大金を振り込んだとしても、3人が死んだ原因がアンナの無謀な計画によるものなのだから感動までには至らないのである。
トランスポーターシリーズの新任監督に選ばれたカミーユ・デラマール監督の作り出す映像そのものはネタ切れなのかもしれないが車にこだわることがなくなったことで「007」風になり決して悪くはなく、ベッソンの他に2人のライターが関わっているのだから、脚本はもっとどうにかならなかったのであろうか?