MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『コードネーム U.N.C.L.E.』

2015-11-23 00:12:03 | goo映画レビュー

原題:『The Man from U.N.C.L.E.』
監督:ガイ・リッチー
脚本:ガイ・リッチー/ライオネル・ウィグラム
撮影:ジョン・マシソン
出演:ヘンリー・カヴィル/アーミー・ハマー/アリシア・ヴィキャンデル/エリザベス・デビッキ
2015年/イギリス・アメリカ

 「キングスマン」と「ナポレオン・ソロ」の描き方の違いについて

 日本において同時期に公開された『キングスマン』(マシュー・ヴォーン監督 2014年)と本作を比較してみると同じスパイ映画でありながらテイストの違いがよく分かると思う。『キングスマン』においては個々のエピソードがメインストーリーを形作っていったのであるが、本作は、個々のエピソードが、主人公でCIA所属のナポレオン・ソロとKGB所属のイリヤ・クリヤキンに加えて、実はMI6所属のガブリエラ・”ギャビー”・テラーの、メインストーリーを逸脱した「愛憎劇」であるために、そこに面白みを見いだせなければ退屈かもしれない。
 ところで日本人にとって非常に興味深いものがあった。敵の追跡を逃れてソロとクリヤキンがボートで逃走を試みるのであるが、途中でソロがボートから海へ振り落とされ、岸にたどり着きトラックに乗ってワインを飲みサンドイッチを頬張りながらクリヤキンが一人で敵から逃げ回る様子をしばらく観察した後に、乗っていたトラックごと海に飛び込んでいって海底に沈んでいこうとしているクリヤキンを救出するまでにBGMとして流れている曲である。聞き間違いでなければ、それはペピーノ・ガリアルディ(Peppino Gagliardi)の「ガラスの部屋(Che Vuole Questa Musica Stasera)」で、お笑い芸人のヒロシがネタのBGMとして使っている曲である。つまりこの感情過多の名曲が今の日本人だけでなく西洋人にも「お笑い」のネタとして受け入れられ、まるでコブクロの「永遠にともに」がお笑い芸人の陣内智則と女優の高畑充希によって「お笑い」のネタにされているような感じで興味深いと思ったのであるが、この曲が使用されている『ガラスの部屋(Plagio)』(セルジオ・カポーニャ監督 1969年)では2人の男性が一人の女性を巡る葛藤が描かれているので、意外と真面目に引用されているのかもしれない。以下、和訳。

「Che Vuole Questa Musica Stasera」 Peppino Gagliardi 日本語訳

今夜、この曲を求めているのは誰なのだろうか?
この曲は僕にほんの些細な過去を思い出させる
月が僕の相手をしてくれるようだ
曲は僕に君のことを思い出させる
僕のものだった君を
僕だけのものだった君を

君は僕のそばにずっといてくれるはずだった
僕たちの間に障害となるようなものは今はないはずなのに
僕にはまだ君の柔らかくて甘い声が聞こえる
今は君がそのような言葉を発しても僕にはもはや何も感じないとしても

世界中を回っても君が僕にくれたような幸せは存在しない
今、僕は分かった
いつでもどんな時でも
君はもはや君ではないんだ

今夜、この曲を求めているのは誰なのだろうか?
この曲は僕にほんの些細な過去を思い出させるし
ほんの些細な愛を思い出させ
君の面影を思い出させる

今、僕は分かった
いつでもどんな時でも
君はもはや君ではないんだ

今夜、この曲を求めているのは誰なのだろうか?
この曲は僕にほんの些細な過去を思い出させるし
ほんの些細な愛を思い出させ
君の面影を思い出させる
君の面影を

PEPPINO GAGLIARDIさん『Che Vuole Questa Musica Stasera』の歌詞
ガラスノヘヤ
words by ガエタノロベルト
music by ガエタノロベルト
Performed by ペピーノガリアルディ

Peppino Gagliardi - Che vuole questa musica stasera - Musica Italiana, Italian Music


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