原題:『体脂肪計タニタの社員食堂』
監督:李闘士男
脚本:田中大祐
出演:優香/浜野謙太/草刈正雄/壇蜜
2013年/日本
愛情不足のダイエットについて
ダイエットをする際に、愛情の問題は欠かせないと思う。例えば、春野菜々子に対して恋心を抱く開発部社員の太田は菜々子に認めてもらいたいがために、ダイエットを決心し、仕事場に設置していた冷蔵庫をガムテープでぐるぐる巻きにしたはずなのだが、何故か毎晩カレーライスを食べている有様で、営業部社員の丸山にしても別れた妻に引き取られた娘に認めてもらいたいからダイエットを始めたはずである。ところが愛情は二の次で二代目副社長の谷田幸之助の唐突な意欲に押されてダイエットプロジェクトを再開するというストーリーの展開には納得がいかない。そのダイエットプロジェクトが一度頓挫した原因は営業部社員の福原の自殺未遂なのであるが、福原はダイエットのために絶食をしていたため、精神的に不安定になり自殺しようとしたらしい。しかし福原は確かに大好きなイチゴミルフィーユを食べることは我慢していたが、菜々子が作った低カロリーの食事は取っており、絶食をしているシーンなど無く、訳がわからないことになっている。
それは演出にも言えることで、菜々子が靴下を脱いで体重計に乗った際に、体重計から音がして驚いた菜々子が体重計を持ち上げて振るシーンにはどのような意図があったのかよく分からない。減量に励んでいる福原に他の同僚が差し入れとしてイチゴミルフィーユを持ってくるシーンにおいて福原が食べないことを同僚たちが訝るのであるが、福原がダイエットをしていることは会社のキャンペーンとして周知されているはずなのだから奇妙と言わざるを得ない。
最後のオチも太田が余りにも気の毒で、それならば何故ダイエットを推奨したのか不明で笑えず、映画として見るべきところが全く見当たらないのであるが、ダイエットの関する知識だけは補える程度といったところか。