原題:『3 Idiots』
監督:ラージクマール・ヒラーニ
脚本:ラージクマール・ヒラーニ/ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー/アルジット・ジョーシ
撮影:C.K.ムラリーダラン
出演:アーミル・カーン/カリーナー・カプール/R・マダヴァン/シャルマン・ジョシー
2009年/インド
伏線の活かし方
あくまでも勉学の実質にこだわり、成功は後からついてくるものだと確信している主人公のランチョーと、人生の成功を夢見ながらテストの点にこだわるチャトル・ラーマリンガムの、工科大学における対決が軸となる本作は、インドの「エンジニア至上主義」に対する批判も込められているように見えるのだが、教育問題そのものを深く突き詰めることはないものの、171分という長尺の中でこれほどストーリーの伏線が丁寧に処理されている作品も珍しく、例えば、作品冒頭でチャトルが、ランチョーが逃げて隠れた部屋まで追いかけ、ドアを開けようとしないランチョーの部屋の前に小便をしたところ、部屋でランチョーが急場しのぎで作った装置をチャトルの小便が当たる地面にかざすことで小便から逆流してきた電流により感電するチャトルが、10年後、再び急所に同様の電気ショックをランチョーの教え子に浴びせられるなど、張り巡らされている伏線が満遍なく活かされており、興行的に成功している理由が納得できる仕上がりになっている。
邦題を原題からではなく、ランチョーたちがしばしば口にする「All is well(全ては上手くいく)」から取られていることは悪くないと思うが、「きっと、うまくいく」という邦題は原語のように韻を踏んでいないためにいささか収まりが悪い。