-野村さんは「王さんがいたから2番目だった」と言っていた
王会長 ボクはまだそのころ若かったから追いついて追い抜こうというのはなかった。日本のホームラン数の記録でノムさんに追いついた時は、ノムさんも抵抗して並行してホームランを打って、意地を見せていた。勢いはボクの方が上だったけどね。ノムさんも分かっていた。ボクに抜かれるなら仕方ないと。実際に認め合って、尊敬もしていたから。
王さんって僕のほうが上だったという言葉は通常言わない人だけれどここでは勢いは僕の方が上だったと語っておられる。
お互いに尊敬していたからこそ本塁打の勢いでは僕のほうが上と言えるのだろうなと思う。
※ここでいう二番目とは通算本塁打のことと思います。ちなみに通算打点も野村さんは王さんについで二番です。追いついて追い抜くと王さんが言っているのは野村さんは王さんよりも6才年上で通算本塁打の記録でも1973年まで王さんに先行していたのでそのことを言っている。
王さんはなくなった方に対するコメントはソフトバンクの球団を通じて出すことが多いけれどこのコメントは記者の質問に直接答える形で出ている。
それだけ王さんの気持ちもひとしおということだと思う。
王さんは野村さんのことを一連のコメントの中で同じ時代を悪戦苦闘して戦い抜いた戦友と呼んでいる。
僕にとっては子供の頃にプロ野球のヒーローだった人がなくなるという気持ちがある。
野村さんがキャッチャーのポジションからぶつぶつバッターにささやいてバッターの気持ちを乱す戦術を使っていたことに対しては、記者に問われると「なんかブツブツ言っていたね。聞こえるけど、打つのにどうこうはなかった。そんなものを聞いているようでは打てない」と王さんは答えておられる。
「なんかブツブツ言っていたね」と記者の質問をはぐらかすことなくちゃんとまともに受けて、そんなもの聞いているようでは打てないと一般論で無難にしめくくるところがいかにも王さんらしい。
本当にいろんなことがあったときに王さんのコメントを見ると心がほっとするなと思う。