8月30日付けの読売新聞の人生相談(人生案内)のコラムに17歳の女の子のこんな相談が載っている。
“”17歳の女子。声が小さく 口下手なのが悩みです。
中略
特に先生やスクールカーストの上位にいるような人と話すのが苦手です。
中略
私は国際社会で働きたいと思っているのです。コミュニケーション能力がなければやっていけないと思います。どうしたらコミュニケーションが得意になるでしょう。“”と。
『特に先生やスクールカーストの上位にいるような人と話すのが苦手』
スクルーカーストの上位。
すっかり忘れていた言葉だし、僕が高校生の頃はまだ、スクールカーストという言葉はなかった。
しかし、スクールカーストってどういう意味かなんとなくわかるなと思う。
そして、特にスクールカーストの上位にいるような人と話すのが苦手って、本当に高校生の頃特有の悩みだなと思う。
どちらかというと男より女の子のほうがこの悩みは多いかもしれない。下手なこと書くと森前首相のように、袋叩きにあってしまうかも知れないけれど、やはり、女性は男より口数が多いのが通例なので、、、。
でも、男のスクールカーストに関する悩みも女性のように顕在化しないだけで、潜在的にはあるものだと思う。
スクールカースト、、、曖昧な概念だ。
江戸時代の士農工商のようにはっきりと名称がついて別れているわけでもないし、、、。
ただ、僕が高校生の頃を振り返って言えば、スクールカーストの上位にいる子は成績がいい、容姿もそこそこ美男美女、成績がいいだけでなく部活も頑張っていて、学校行事などでもリーダー的にふるまえる、まあ、そんな要件を全てとは言えなくてもそこそこ満たしている子ということになるのではないだろうか。
そして、そのスクールカーストの上位にいる子にうまく取り入って、上位グループに入っている子もそこそこの人数いる、とまあ、僕が高校の頃、観察していた印象ではそんな感じだ。
不良グループの子もそこそこ成績が良かったりスポーツができたりすると、あの子、不良やけどなかなかやるやん という感じで妙にスクールカーストの上位にいたりした。
あと、成績もそれほどよくない、部活も、生物部などにとりあえず籍だけ置いているという子も、人間観察力が鋭かったりすると、みんなの相談役や悪口の聞き役になったりして、スクールカーストの上位に食い込むということもあった。
まあ、そんなメンバーでスクールカーストの上位は形成されていたように思う。
ただ、還暦近い僕の年齢になってしまうと、スクールカーストの上位に高校の頃いたということと、その後の人生で、いわゆるスクールカーストの上位的立場を保ち続けられるかどうかにはそれほど大きな相関関係はないとわかってくる。
むしろ場合によっては負の相関関係さえあるようにも思う。
これは僕がごく主観的に思う原因として、スクールカーストの上位にいる子は概して、人と張り合う傾向が強い、そして、人と張り合う傾向が強い人の人気はそれほど長続きしないということなのではないだろか。もちろん、ごく主観的な印象であるにすぎないけれど、、、。
何日か前に、僕がコンビニで〇〇坂46という集団の女の子たちの顔が写っているポスターと言うか登りをみてそれほど好印象を受けなかった理由も、あるいは〇〇坂46という子たちもスクールカースト的な位置づけをかなり意識している子たちだからかもしれない、、、。
それは、さておき、僕は高校の頃どちらかというと、スクールカーストということとは離れた立場にいる子のほうがむしろ好きだった。
具体的な例として、Hくんという子がいた。Hくんは黙々と勉強をするタイプで、成績はかなりよかったけれど、他に成績もいいけど楽器もうまいとか、そういう、とくに高校の同級生にアピールするような魅力がなく、スクールカーストというのとは全然関係ないポジションにいた。
でも、僕は高校の頃、黙々と、淡々と取り組むHくんにかなり好感をもっていた。
Hくんは東海地方では最も規模の大きい国立大学に進学した。
そして、気づくと、東大の数学の准教授になっていた。
それを知った時、いやあHくん東大の准教授になったんかと僕は思った。
東大卒でないのに、東大の准教授になるなんて、やはり自分が進学した大学でも黙々と取り組んだのだろうなと思った。なにしろHくんのことだから、、、。
そのHくん 東大で数学を教えているということで、僕が卒業した高校に、卒業生の一人として、講演をしにきたことがある。
僕と母は同じ高校の出身だから、母のところにも僕の高校の同窓会だよりが届く。
帰省した時、その同窓会だよりに載った、Hくんの講演の模様を写した写真を母に見せて「この子、高校の頃黙々と勉強する子やった」と僕が母に話すと母はその写真をじっくりと見た。
そして、言った「ホンマや、ズボンの前のところはちょっとズルっと下がってしまってるけど、ええ子やねえ」と。
その後、時々、Hくんのことをネットで検索しいたけれど、長らく東大の准教授のままだった。
一時は僕も、やはり、Hくんは黙々とやるけれど、ハッタリがきかないから、准教授止まりかと思っていた。
そして、今日、思い出してHくんを検索してみると、学習院大学理学部教授になっている。
なんだか、そういうこぢんまりしていて、そこそこ雰囲気のいい大学の先生って、Hくんにピッタリのポジションであるように僕には思える。
地味だけれどやっぱりすごいなと思う。
それはともかく、いちにち いちにち 無事にすごせますように、それを第一に願っていきたい。