「蟹工船」日本丸から、21世紀の小林多喜二への手紙。

小林多喜二を通じて、現代の反貧困と反戦の表象を考えるブログ。命日の2月20日前後には、秋田、小樽、中野、大阪などで集う。

多喜二の視点から見た 身体 地域 教育

2009-05-21 10:25:31 | 多喜二関係映画・演劇・書籍・DVD情報
新刊紹介 多喜二の視点から見た 身体 地域 教育

2008年オックスフォード小林多喜二記念シンポジウム論文集

時空を貫き多様な領域へ

昨年9月16日から18日まで、オックスフォード小林多喜二記念シンポジウムが開催されました。オーストラリア、ノルウェー、イギリス、日本、アメリカ、カナダ、中国、韓国の33人が発表し、本書には、そのうち 「現在の多喜二研究の水準を示し、さらに今後の研究方向を予測させる」 23編を収載しています。

一読、多喜二の受容と研究の広がりに目を見張ります。「蟹工船」 をはじめ、「安子」 「不在地主」 「健」「救援ニュースNo.18附録」「暴風警戒報」 などの研究を通して、貧困、暴力、買売春、ジェンダー、グローバリズム、連帯、決起への呼びかけなど、多喜二が提起した諸問題の現代性を浮き彫りにしています。

小樽多喜二祭にも参加した同シンポジウムコーディネーターのヘザー・ボーウエン=ストライクさんは、多喜二への関心は 「単なる学問的関心という以上に、私たち自身が生きる世界のより公正な在り方への切望を惹起するもの」 と評しています。荻野富士夫、小森陽一、北村隆志氏らの発表は説得力があり、多喜二と村上春樹、松本清張、宮崎駿を関連づけた興味深い研究もあります。多喜二ファンならずとも、挑戦してみたい一冊です。 (丁)
(発行=小樽商科大学出版会、発売=紀伊国屋書店、2000円+税)


(北海道民医連新聞2009年3月12日号より)

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
嬉しい批評 (Prof. Shima)
2009-05-22 09:30:59
嬉しい批評をいただきました。さらに普及されるといいのですが。
返信する

コメントを投稿