いつも通る国道沿いの杉林には藤の花がにぎやかだ。むかしは大型連休あたりが満開だったのを思い出す。人工林ばっかりの単色の中にありながら、ひときわ目立つ藤の花に心を奪われる。「樹上より滝降るごとく山の藤」(遊雀blog)の俳句がぴったりの景色だ。くねくねした国道からヤマフジが次々と現れてくる。山が放置されているのが良かったのか。
そのため、車の運転がつい甘くなりがちだが、車の往来が少ない中山間地なのが救いだ。藤原氏の栄華の象徴でもある藤の花だが、藤は長寿・繁殖力抜群の樹木なので家紋にも多く取り上げられる。
同時に、沢沿いに控えめながら咲いている「ヤブウツギ」の赤紫色も無視できない。一般的なウツギ系の花はほんのりしたピンク色が多いが、このヤブウツギの濃厚な色は原種のような存在だ。太平洋岸に多く、大気汚染にも強い逞しい樹種でもある。花言葉は「優雅」。
今の季節はしばし、ダイナミックな藤色の「滝」と控えめな濃赤色の「優雅」とを楽しむチャンスだ。大型連休の人ばっかりが集中する観光地にはまったく行く気がしない。身近な自然をじっくり見る連休を推奨したいものだ。年金生活者のやせ我慢かー。