読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

地球進化探訪記-岩波科学ライブラリー10

2010年01月04日 05時19分51秒 | ■読む
松井孝典著、岩波書店刊
著者は執筆時(1994.3.22)に、東京大学大学院理学系地球惑星物理学専攻助教授とのことです。
-----------------------------------------------
URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/松井孝典
-----------------------------------------------
著者の後書きによれば
「西オーストラリアを訪れることは、NHKの「地球大紀行」で取材班が撮影した、ハメリン・プールの原生のストロマトライトやハマスレイの縞状鉄鉱層の美しい画像を見たときから、わたしの長年の夢であった。」
とのことです。私もその番組を見た記憶があります。その後、私の環境関係の勉強の途上で、地球環境が生物によって大きく変えられたことを知るに及び、感動しました。本書でも語られていますが、地球の歴史46億年で、ストロマトライトが38億年前に誕生したそうです。これは、シアノバクテリアという光合成生物体である原始的ならん藻あるいは緑藻で、代謝活動の一環として、ねばねばした分泌物をだし、それの周囲の砂などが付着して、岩石状になるのだそうです。直径が30-50cm、高さは50-100cm程度で、一年間に0.5mm成長するので、50cmに成長するのに、1000年かかる計算になります。
この生物の光合成により大気中に酸素が放出され、酸素の増加によってやがてオゾン層が形成された結果、地上に到達する太陽光線中の有害な紫外線が遮断され、水中生物が陸上に、植物として進出できるようになったのでした。(水も紫外線を吸収するので、水中の生物は生きられた)
ここまでは知っていたのですが、著者らの学説では、大気中の二酸化炭素が海水に吸収され、それが海水中の炭酸塩岩塩となって沈殿し、更に地殻の移動によってマントル層に入り込むことによって、大気中の二酸化炭素が減少したことも加わっているとの主張です。
まだまだ、地球の成り立ちで不明なことが多くあると、率直に語っていながら、隕石の学問的な説明なども含め、極めて分かり易く解説しています。
評価は4です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« みずうみ | トップ | 君よ憤怒の河を渉れ:DVD »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

■読む」カテゴリの最新記事