中島義道著、新潮文庫刊
中島さんの本は面白い。最初に読んだのは「うるさい日本の私―「音漬け社会」との果てしなき戦い」でした。単なる変人の戯言にもとれる主張が、実に筋が通っていて痛快でした。しかも、中島さんは、迷惑であると思っていること(例えば、電車内のアナウンス)に実際に抗議したらしいのです。相当に変わった人だと思いながら、自分が思ったことをはっきりと主張できたら良いなぁ、と憧れました。
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源義経が兄の頼朝から疎んじられ、(いわば手配書を配られ)東北の藤原氏を頼って逃れる旅の道すがら、ある峠の関所を超えることになった。供の者は、武蔵坊弁慶などの他に、強力として地元の者が付いてきます。この場面は、歌舞伎の勧進帳として有名なのだそうですが、私は本作をみて、関所の役人が武蔵坊弁慶に勧進帳を読むように命じた所で気付きました。
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清水聖義(まさよし)著、SONIC刊
著者の清水さんは群馬県太田市の市長さんです。講演会でお話を聞いて、大変に型破りでありながら、自然体で、ご自分の原理原則を述べておられました。また、本音で語るスタイルで、政治家としてのリスクが大きいのではないかと感じました。しかし、おっしゃることは一々ごもっともで、私は非常に好感を抱きました。
本書は、ご自分のブログを元に書籍にしたそうで、市長選への立候補や県知 . . . 本文を読む
日本の名優が出演しています。左上から主演の椎名桔平さん、長谷川京子さん、ゲイリー・オールドマン(この方は外国人ですが)、清水美沙さん、柄本明さん、若松武史さん。それぞれに印象に残る演技をしていました。
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鴨志田穣、西原理恵子著、講談社文庫刊
読んでも読まなくとも良いのですが、実に強烈で毒を含んだ一冊でした。そして、さまよう魂の記録でもある、という、何とも不可思議な著作でありました。
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たまたま、茨城県民文化センターで開催されていた「第43回水戸市芸術祭 創造と伝統ある文化のまちに 青少年コンサート」を聞きました。聞いたのは上記の画像の団体ですが、その他も合わせると、水戸市と周辺の市の31団体が、実に多彩な演奏をしました。
兎に角驚いたのは、小学生がチューバを初めとする金管楽器でマーチングを。あるいは、(恐らく)高校に入学してから習った弦楽器での演奏。特に圧巻であったのは、大洗港 . . . 本文を読む
西木正明著、文春文庫刊
著者は1940年(昭和15年)生まれで、早稲田大学中退後、平凡社に入社し「平凡パンチ」や「ポパイ」の編集に携わりました。1980(昭和54年)に独立してフリーのライターになり、同年には、「オホーツク諜報船」で日本ノンフィクション賞新人賞を受賞されたとのことです。その後も幾つかの賞を受賞されていますが、本短編集の中の「凍れる瞳」と「端島の女」で第99回直木賞を受賞したとのこと . . . 本文を読む
清原斉(ひとし)さんは、明治29年に茨城県の長戸村(現竜ヶ崎市)に生まれ、画家としての修行を重ねながら、歌人としても活躍されたそうです。本展覧会は、水戸市の常陽史料館で開催されています。
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池上直己、J.C.キャンベル著、中公新書
著者は、医師であると同時に、医療政策や医療経済を研究しています。本書は1991年の夏に、日米交流基金が助成するプロジェクトとして取り組んだ日本の医療制度に関する研究成果を、一般向けに書き直したものです。
内容は、日本の医療制度の歴史を江戸時代から説き起こし、戦後の大きな変革を経ても、日本独自の制度や考え方が、そうした歴史的経緯や日本社会の在り方と深く結びつ . . . 本文を読む
茨城県近代美術館の展覧会です。明治43年に生まれ、平成9年に87歳で死去されました。出身は熊本県で、東京美術学校(現東京芸大)で日本画を学んだそうです。晩年のインタビューの様子がビデオで流されていたので、見ていますと、お祖父さんとおじさんが画家だったが、ご自分は剣道に熱中していて、画家になる考えはなかったが、進学に際し画家への道を選んだそうです。大変に几帳面でまじめな方で、毎日の日課は犬の散歩と絵 . . . 本文を読む
乃南アサ著、横浜録音図書発行
一つ目の作品は、単身赴任の夫の不倫を知って、相手の女の所に乗り込んで行く妻を、二つ目は、人妻が、心をときめかして行為を寄せる陶芸家に逢いに行く話です。いずれもが、何気ない状況描写から入り、意外な展開に軽い驚きが。そしてそこに、なにがしかの人生の真実を感じます。人は人にではなく、自らの心に忠実に生きることが大切だということを示しています。
評価は4です。
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永峰英太郎著、アスキー新書刊
副題に「松井のバット、藍ちゃんのゴルフクラブをつくる男達」とあるように、一流のスポーツ選手の道具を作る方々を取材した著作です。著者は、業界紙や新聞社などを経てフリーのルポライターとして活動し、人物ルポを得意としているそうで、取り上げている10人の職人さんについて、ごく手短ながら、人柄や信条がよく分かる文章で好感が持てました。
一般の職人と異なり、良いものを作る事に加え . . . 本文を読む
東京映像社制作
千葉県の森光慶さんの手仕事の紹介です。楊枝は江戸期まで歯ブラシとして使われていたそうです。材料が黒文字という木で、水捌けの良い山の日陰の斜面に自生しているもので直径3cm程度の物を収穫し、1年程寝かしてから使用するとのことです。森さんの手仕事は、丁寧でありながら、実にさりげなく進んでいます。名人の手業は大概こうした感じですが、幾つかの拘りを聞くに及んで、奥深い世界だと感動しました。 . . . 本文を読む
逢坂剛著、文春文庫刊
逢坂さんの「禿鷹シリーズ」の第1作目です。主人公の名前が禿富鷹秋(とくとみたかあき)で、通称ハゲタカ。実に割り切った娯楽小説で深みはありませんが、エンターテイメントとして一級品であると思います。逢坂さんの作品は「カディスの赤い星」くらいしか読んでいないので、本作が著作群でどの様な位置付けになるのか見当も付きませんが、エルロイの作品を、ごく軽くした漢字で、巧みな文章構成によって . . . 本文を読む
乃南アサ著、横浜録音図書発行
ごく短い短編が2本。「湯飲み茶碗」は心惹かれた年下の陶芸家に会うために備前を訪ねた主婦が、思いも掛けない仕打ちを受けて傷付き、しかし、芸術に真摯に向き合う芸術家の姿に気付き、心を立て直す話です。
また「姉と妹」は、同じ家庭で育ちながら、異なった個性によって大きく違った人生を送っていた姉妹が、故あって再会した。気質も暮らしも異なる二人は、それぞれに悩みを抱えて生きていた . . . 本文を読む