読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

家紋:市原悦子/朗読

2009年07月31日 05時22分05秒 | ■聴く
松本清張作、新潮CDブック発行 松本清張さんの作品は、不思議な味わいがあります。そして、暗さが基調になっているように思います。本作は特に暗い作品です。 ある村で発生した夫婦の惨殺。かろうじて生き延びた幼い娘が成長した後に、感得した真実に違いないこと。しかし、作品は、そのことを臭わせて終わらせている。心憎い演出です。 評価4はです。 . . . 本文を読む
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小泉武夫の世にも不思議な食の世界

2009年07月30日 06時41分14秒 | ■読む
小泉武夫著、日本経済新聞社刊。 著者が日本国内外で体験した様々な食の有様を、独特の語り口で披露しています。椎名さんも「全日本食えば食える図鑑」などの著書で、椎名ワールドを展開していて非常に面白いのでうすが、小泉さんは食に関する膨大なバックグラウンドがあるので、ふざけた(洒脱な?)語り口であってもぐいぐいと引き込まれていってしまう魅力があります。見た目や食感、味に独特の表現があって楽しい。こうした個 . . . 本文を読む
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幻談(げんだん)

2009年07月29日 19時47分41秒 | ■聴く
幸田露伴著、東京エーヴィセンター発行、朗読:峰惠研 冒頭、「アルプス登攀記」のウィンパーの例を挙げて、いわゆる「奇譚」の話を始めます。それからゆるゆると次のように話を続けます。江戸時代の御家人が、有能でありながら、ふとしたことから役を解かれ、釣り三昧の生活に入ります。ごく穏やかな性格で、これまた穏和な性格の船頭の乗客として毎日のように釣りに出掛けます。そんなある日、魚の釣れないまま、間もなく一日が . . . 本文を読む
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森麻季ソプラノリサイタル

2009年07月28日 20時24分16秒 | ■聴く
つくば市のノバホールで森麻季さんのリサイタルがありました。森さんはNHKの番組「トップランナー」で初めて拝見しました。そのときの印象は、芸術家っぽくない、ごく普通の話し方でしたが、番組の最後に歌うと、全く異なる声でびっくりしました。 ---------------------------------------------------- URL => http://ja.wikipedia.org . . . 本文を読む
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一口劍(いっこうけん)

2009年07月27日 19時54分10秒 | ■聴く
幸田露伴著、東京エーヴィセンター発行、朗読:峰惠研 鍛冶見習いの正蔵は、恋仲になったお欄と駆け落ちします。田舎で農具鍛冶として生活している二人は貧しい生活に陥ってしまい、夫婦喧嘩をするような荒んだ生活を送っています。そんなおり、正蔵がお欄に「自分は日本一の刀鍛冶だ」と、酔った勢いで豪語したところ、その話が殿様に伝わり、刀の製作を依頼されます。しかし、正蔵の本当の腕はさほどではなく、お欄に告白すると . . . 本文を読む
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SATフォーラム2009:反物質の謎:小林誠

2009年07月26日 07時11分03秒 | ■聴く
知人から紹介されて、このフォーラムに参加しました。「SAT:Science Academy of Tsukuba」主催で、今回はノーベル物理学賞を受賞した小林誠さんが講師でした。小林さんを身近に知る人の談では、ノーベル賞を受賞した際の家族が語るごとく「偉ぶらない普通のおじさん」とのことでしたが、講演会を通して接した印象は、非常に知的で謙虚な方でした。今まで接した他の教授は、社会人としては今一つの方 . . . 本文を読む
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ひとよ草

2009年07月25日 07時37分26秒 | ■聴く
幸田露伴著、東京エーヴィセンター発行、朗読:峰惠研 語り手の友人である和陵(わりょう)は、学問に明け暮れる高等遊民でしたが、ある時美しい女性に出会い恋に落ちます。どこの誰かも分かりません。ひとよ草(スミレ)の香りだけが手がかりでした。語り手は、ふとしたことでその女性に出会い、苦労の末二人を添い遂げさせます。しばらくの間幸せな生活をしていましたが、美しい妻は病死してしまいます。その女性への思慕の念を . . . 本文を読む
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我が妻との闘争

2009年07月24日 20時02分29秒 | ■読む
呉エイジ著、アスキー刊。 いやーっ、楽しく読ませていただきました。私自身と同じような物欲と現実との狭間でのたうち回る著者は、私以上の苦しみを味わっていて痛快です。って書くと、私の性格が余程悪いのではないかと思う貴方、是非、本書を是非お読みください。 ------------------------------------------------------ URL => http://www.11 . . . 本文を読む
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海のシルクロード9:海道の王国~ベトナム海岸2000キロ~

2009年07月23日 21時03分14秒 | ■見る
40年位前のベトナム戦争当時、日本は左翼思想が社会一般に清く正しい考え方であるという雰囲気がありました。それというのも、戦後の東西冷戦の雰囲気の中で、日本がそれぞれの陣営の、プロパガンダの戦いの場所であったことと、共産主義の人々の活動が、非公然と行われたことによるようです。自民党に代表される政治権力に与することは、何となくいかがわしいことのように感じました。 そうした雰囲気の中で、ベトナム戦争が報 . . . 本文を読む
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フィンチの嘴(くちばし)

2009年07月22日 20時20分51秒 | ■読む
ジョナサン・ワイナー著、早川書房刊。 本書は、1995年ピューリツァ賞受賞作品です。ダーウィンが唱えた進化説を、今を生きている学者が、ガラパゴス諸島に住むフィンチという鳥を長年に亘り調査研究し証明している、という事実を中心に、大変に平明で理解しやすい説明を繰り広げています。おそらく中学生が呼んでも理解できる内容であろうと思います。 最先端の科学の研究を、これ程分かり易く伝えることは、並大抵の技量で . . . 本文を読む
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太郎坊

2009年07月21日 17時53分32秒 | ■聴く
幸田露伴作、東京エーヴィセンター発行:峰惠研朗読 口語体で書かれた、調子の高いリズム感で描かれた作品です。普通の家庭の何気ないある夕刻のこと。その屋の主が、妻が用意の酒肴で上機嫌に一杯を聞こし召していた時、持っていた杯を取り落とし割ってしまいました。それまで上機嫌で僅かに酔っていた主人は、うろたえ、残念がり、そのどうということもないけれども、長年に亘り愛でていた杯を壊してしまったことに、不自然なほ . . . 本文を読む
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Google Earth でみる地球の歴史

2009年07月20日 09時03分01秒 | ■読む
後藤和久著、岩波書店刊。 地球の歴史を探るための地質調査は、かつて、大変な手間と労力が必要であったようです。しかし、近年は、航空写真の利用で下調査が簡単に行える環境になっており、更なる研究の進展がみられているようです。 本書は、そうした研究で、Google Earth という、無料の驚異的なサービスが活用されている例を紹介しています。また、2004年12月26日に発生したインド洋大津波の被災状況の . . . 本文を読む
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風流仏

2009年07月19日 07時30分00秒 | ■聴く
幸田露伴作、東京エーヴィセンター発行:峰惠研朗読 文語体なので、聞き初めは分かり難いのですが、耳が慣れてくると、文章の持つリズム感が心地良く、次第に作品世界に入って行けます。明らかに韻を踏んだ文章で、美しくかつ力強く感じました。「五重塔」での終盤の嵐の描写でも鬼気迫る感がありましたが、本作でも、終盤で、主人公が恋しい女性を一心に彫刻する場面や、葛藤にのたうち回る場面での描写が凄まじい。 さて、本作 . . . 本文を読む
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R62号の発明

2009年07月18日 08時15分59秒 | ■聴く
安部公房著、新潮カセットブック発行。 私が学んだ高校はたくさんの奇人変人がいました。進学校で、非常に優秀で早熟な、時にはこれこそが天才では、と思えるような人達がいました。私は凡人なので、ひたすら唖然としていました。たとえば、数学の天才君は、数学の難しいテストを10分位で終えて、後はボーっとしているのです。座席は学期ごとに自由に選べるのですが、彼は教壇に向かって右の最前列が定位置で、テストを終えてボ . . . 本文を読む
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D坂の殺人事件

2009年07月17日 20時15分08秒 | ■聴く
江戸川乱歩作、新潮カセットブック発行、朗読:寺田農。 名探偵 明智小五郎が登場する推理小説です。推理小説は、小学生の頃、児童向けに書き直したものを好んで読んだ記憶がありますが、その後しばらくの間SF小説にのめり込み、純粋な推理小説は読んでいませんでした。 ---------------------------------------------------- URL => http://ja.wi . . . 本文を読む
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