野中郁次郎著、中公新書刊映画などで知れ渡った「アメリカ海兵隊」の成立と発展過程を辿り、その背後にあった、組織の存立危機を乗り越えた思想と具現化の過程を解説しています。また、太平洋戦争での日本との闘いから湾岸戦争までの主要な実績を辿り、独立した軍種としての実績を記しています。
著者は経営学者として著名なようで、本書は組織論の観点から記されているので、事例として取り上げた闘いも、事実をコンパクトに、 . . . 本文を読む
姫野桂著、ちくま新書刊現役時代に出会った中に、当たり前の仕事が出来ない人、信じられないミスを連発する人、あり得ない判断をする人達がいました。私が働いていた40年間で高学歴化が進みましたが、こうした特徴は結構な学歴をもった人に見られることが多いように思います。
最後の4年間で、部下になった三人が特に印象的でした。一人は、偏屈ですが非常に頭の良い職員で、難しい課題でも的確な指示を出せば見事な結果を出 . . . 本文を読む
「アレクサ VS シリ ボイスコンピューティングの未来」でディープラーニングについて概略を理解していましたが、顔認証においてもディープラーニングが働いているとのことです。
著者は、大学院からNECに入社し企業内研究者の道を歩き始め、全く新しい世界で結構重要な役割を担うことになったそうです。以来、ひたすら顔認証の技術開発に取り組み、アメリカの公的機関によるコンテストで、何年も世界一位の栄冠を収め続 . . . 本文を読む
ユーチューブは玉石混淆かつ広大で、とても全部を眺めることが出来ない程です。また、好んで試聴する傾向を反映したフィルターが掛かるので、気を付けないと、偏った情報だけを見聞きしたり、知らなかった音楽に触れる感動を得られないかもしれません。
もう、10年近く本格的に試聴していますが、音楽は、クラシック、ジャズ、ポピュラー、コーラスなど、あらゆるジャンルを満足できる音質で聞き流せるので、翻訳中の聞き流し . . . 本文を読む
風俗産業が当たり前に営業し、ポルノがすっかり広がっている日本にあって、昔ながらの雰囲気を保っていた飛田を取材したルポタージュです。書き始めてからしばらくは、著者が取材で駆け回るのが空回りしてしまい、中々、飛田の実像に迫れない感じでテンポが悪く、少し外したかなと感じました。
その後は、文献をなどを中心として飛田の歴史を辿ります。長い取材時間の甲斐あって知り合った人々から断片的な情報が入り始め、この . . . 本文を読む
田中和明著、秀和システム刊文明の歴史は金属の歴史という側面が大きいと思います。最も大きな存在は鉄ですが、その他にも、社会経済活動に影響を及ぼした金属は沢山あります。
著者は子供の頃歴史が好きで長じて製鉄技術者になったそうですが、現在は企業への助言と指導を生業として活躍されているようです。同じ理系の頭のせいか、本書を読んでいると、純粋で無垢な著者の生き方が伝わってきました。(私はそうでもありません . . . 本文を読む
山本桂子著、講談社刊江戸時代以降の日本での化粧の歴史を辿った本です。装うことの是非ではなく、社会経済状況を反映した面が大きい化粧方法と技術及び製品、そして、その狙いを、当時の文献から引用しながら分かり易く紹介しています。
私が社会に出てから、化粧や服装が派手になったバブル期以降が記憶に残っていますが、本書を読んでいる内に、それ以前の思春期頃の流行も思い出しました。著者は私よりも6歳年下ですから、 . . . 本文を読む
向笠千恵子著、平凡社新書刊本書は、鯖、ぶり、塩、鮑、昆布、醤油、鮎鮨、茶、砂糖、豆腐、唐辛子、さつまいもの12品を取り上げ、その食品が運ばれた道(街道)を辿り、往時を振り返りつつ、関係者や状況を取材しています。
読み始めてからしばらくは違和感があったのですが、その正体は、本書で取り上げた食品を使った料理の数々の食レポが非常に多いことでした。それに気付いてからは、すんなり読めました。もう一つの特徴 . . . 本文を読む
ジェイムズ・ブラホス著、日経BP刊コンピュータが人間との有用な会話を交わす技術が大分前から研究されてきましたが、近年になり急速に実用化され普及しています。本書は、アレクサとシリだけでなく、他のAI機能の開発の経緯を辿って、人間の音声の認識、解析と意味の把握、内容に応じた必要な処理の後に、人間に音声の会話の形で出力する一連の技術開発に触れています。その成果としての会話を実現する事が如何に困難であった . . . 本文を読む
宝野和博&本丸諒著、日本実業出版社刊磁石が見えない所で大活躍していることは知っていました。代表的なのはモーターです。ハイブリッド車では、約100個ものモーターが使われているそうです。
本書は、磁石の種類と、それぞれの開発の経緯や性能向上の取り組みから始まり、ハイブリッド車やEV車では、より高効率なモーターに必須である、磁力がより強い磁石の開発の第一線で活躍されている宝野和博が、本丸諒さんと協力し . . . 本文を読む
園田英弘著、文春新書刊非常に身近な「忘年会」の起源、時代と共に変化した様子などについて真面目に論じている著作です。前半は、室町時代の文献の記述から始まり、中国からの影響が見られることから、当時の「忘年会」に類似した行事の内容を探ります。それを江戸期まで延々と続けていて、いさささか退屈でしたが、中盤の江戸期から現代までの忘年会の意義や形態の変遷、外国との比較など、幾分面白さが増しました、とはいっても . . . 本文を読む
アダム・ラシンスキー著、早川書房刊スティーブ・ジョブズとアップルについて、結構多くの著作を読みました。両者は、創造主と、その創造物として、多くの人々の賞賛と敬意の対象となっています。特にジョブズのキャラクターは、その功績故に否定することが困難ですが、社会の一員として振る舞いは、完全にイカレテいるという評価は変わっていないように思います。どのような手段を選ぼうとも、結果的に革新的で魅力的な製品を生み . . . 本文を読む
山崎洋子著、新潮社刊私の若い頃、沢村貞子はテレビでおなじみでした。その沢村さんのマネージャーが、沢村さんの没後、周囲の沢山の勧めによって執筆した著作です。
世間を知らないまま沢村さんのマネージャーになり、沢村さんの導きで仕事を覚え、後には、沢村さん以外にも著名な芸能人を抱える事務所を営むようになったのだそうです。30年余の時間を共にした著者ならではと思える数々のエピソードによって、沢村さんの人と . . . 本文を読む
黒澤明著、岩波書店刊黒澤監督が自らの人生を、幼少期から年代順に振り返った自伝です。黒沢さんの作品は、「デルス・ウザーラ」までしか見ていませんが、面白い物が多かった。無駄のない展開と迫力のある映像、そして、映像と一緒になって情景を浮き立たせる音楽が渾然一体となっているように思います。代表的な作品のメイキングの書籍を何冊か読みましたが、実際の作品を思い返しながら、撮影時の多面的な工夫が理解できました。 . . . 本文を読む
杢尾堯著、中公新書ラクレ刊本書は実際に起きた事件の概要と捜査の経緯を略記し、その事例に則した捜査の際の原理原則と心構え、そして捜査手法を述べています。警察ものの小説や映画に沢山触れて来ましたが、本書を読むと、それらの内容が、ある程度現実に即した内容であることが分かります。しかし、現場の警官達の熱意と苦闘は小説以上だと感じました。場合によっては命を賭けて職務に対する姿勢が紹介されています。また、逮捕 . . . 本文を読む