高坂正堯著、新潮新書刊半世紀弱前に高坂さんの著作を読んだと記憶しています。今となっては内容を思い出せませんが、感銘を受けたことだけが記憶に残っています。亡くなられて既に30年弱が過ぎていながら、2023年11月15日に本書が出版されたことは驚きです。
本書は1990年に6回に亘り行った講演会の内容を編集したものだそうで、大変に読みやすく平易ながら新しい気付きがありました。氏の該博な知識に裏付けら . . . 本文を読む
児玉博著、文春文庫刊トヨタが、かつて中国進出に出遅れ、気が付けば進出の機会が失われていた。その時、創業家出身ではない奥田さんが会長の職にあり、中国進出の任を豊田章男さんに預け、かつての部下であった服部悦雄さんを配下に付けた。この服部さんが、巧妙な戦略と周到な根回しで、中国での車両生産の成功に導いた物語です。
小説「トヨトミの野望」で登場する人物ですが、著者は、中国で戦中戦後の過酷な27年間を送っ . . . 本文を読む
近藤大介著、講談社現代新書刊近藤さんの著作を読んで、的確かつユーモアのある文章に惹かれました。そこで、今度は少し堅めの中国関係の著作を三冊読み進めようと思います。最初の著作が、2016年に出版された本書です。
本書は「2014年後半」から「2016年」までを時系列に章立てし、中国の戦略と外交を辿っています。その際、アメリカ、日本、韓国、北朝鮮を主として、世界各国との外交や出来事を整理して述べてい . . . 本文を読む
沢野ひとし著、集英社刊文房具の蘊蓄よりも、その文房具にまつわる思い出や出来事を語っている書籍です。下記リンクを見ると「イラストレーター、エッセイスト、絵本作家」として活躍されているようですが、本書で多く掲載された挿絵は「ヘタウマ」とでもいう感じです。
文章から時代の雰囲気や土地柄、あるいは相手の人柄が立ち上って来る、淡々とした不思議な文章で癒やされました。幅が広くと奥行きが深いお人柄らとお見受け . . . 本文を読む
麻生幾著、角川春樹事務所刊中国が、第一列島線上に位置する沖縄諸島の一部に侵攻する事態になったことから生じる闘いを、多面的かつリアルに描いた小説です。麻生さんの「外事警察」などの著作の圧倒的なリアル感と緊迫感が、本書では、何倍にも増して表現されています。特に自衛隊の対応経過での自衛官の遣り取りは、とても想像で書けるレベルではないと感じました。執筆に際して、多くの協力があって実現できることではないでし . . . 本文を読む
リーアンダー・ケイニー著、SBクリエイティブ刊スティーブ・ジョブズ氏に指名されて、ジョブズ氏亡き後アップルを率いてきたティム・クック氏の生い立ちと人柄や能力、そしてアップルのCEOとしての業績を述べた著作です。
アップル信者とも言うべき人々は、熱狂的にアップルを信奉し、割高な製品を購入し続けています。私の知り合いにも一人居ますが、彼は冗談半分でウィンドウパソコンを「悪魔の機械」と呼んでいました。 . . . 本文を読む
近藤大介著、講談社刊ユーチューブで見掛ける様になった近藤さんは実に魅力的だ。ユーモアを交えたひょうひょうとした外見と語り口ながら、無駄のない分かり易い見解を披露しています。それで興味を持ち、先に氏の著作ふしぎな中国」を読み、とても面白く読みました。もう一冊読みたくて探したところ、下記URL一つ目のリンクで「1995年から1996年にかけて北京大学へ留学。」と記されている際の体験記を選びました。
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毛利甚八著、魚戸おさむ画、小学館刊ビッグコミックオリジナルに1988年から1996年まで連載された漫画です。「家栽の人」というタイトルは「家庭裁判所」の「家裁」とばかり思い込んでいたら、主人公である裁判官、桑田義雄が無類の植好きであることから「栽培」の「栽」になっているようです。
優れた学歴と実績があり最高裁判事の父を持ちながらも、少年審判を自らの使命と信じ、出世の道を拒む主人公が、持ち前の優れ . . . 本文を読む
松橋大輔マンガ、北尾トロ原作、新潮社刊大分前に原作を読みましたが、地味ながら裁判の様子が分かる内容であったと記憶しています。本作は、漫画化に当たり北尾さんの協力と、解説などの執筆が加わり、かなり面白く、臨場感豊かに描いてあります。面白さだけでは、原作以上ではないでしょうか。
原作に無いキャラクターが加わったことや、理解しやすいように様々な工夫が凝らしてあります。全13刊を楽しく読み終えました。- . . . 本文を読む
「知日」は2011年に中国で創刊された月刊誌で、毎回テーマを決めて、日本の文化やライフスタイルを紹介しているそうです。本書は、その「知日」を初期のものから選んで伝えています。また、編集者やデザイナー、あるいは関係する人の文章を加えた著作です。創刊当時は、日中関係が悪化した時期だったにもかかわらず多くの読者を得て、その後の成功の端緒となったようです。
昨今の訪日観光客の増加が著しく、なぜ日本を選ん . . . 本文を読む
中島誠之助著、朝日新書刊「開運!なんでも鑑定団」でお馴染みの中島さんの自伝です。波乱と困難に満ちた少年時代と、心に突き動かされた青年時代、そして結婚後の独立と骨董屋稼業と後の「開運!なんでも鑑定団」への出演と現状などについて、ほぼ時系列で記しています。はっきりした物言いをいつも楽しみに見ていますが、テレビでの鑑定の裏に、多くの勉強と思索があるそうです。
未知への強烈な好奇心が、中島さんの原動力と . . . 本文を読む
近藤大介著、講談社現代新書刊この一、二年、ユーチューブで見掛ける近藤大介さんは、とぼけた感じだが、しっかりした意見をお持ちで、辛口のユーモアもあります。学歴が立派ですが、偉ぶったところがなく目線も尋常で、尊敬できる方と思います。
北京大学への留学と、社会人になってから、中国の現地法人の実質的な責任者として苦労されたことから、中国への理解が深まり、中国人の友人知人もお持ちで、観念的な面と肌感覚の両 . . . 本文を読む
大沢在昌著、文藝春秋刊大沢さんの最新刊で、魔女シリーズの4作目を読みました。相変わらずテンポの良い会話主体の流れで、最後まで楽しく読めました。大沢さんのシリーズものは、対応すべき事件が生じて、それに対処する展開が多い様に思います。本作は、主人公の「魔女」の特異な経歴故に、主人公に固有の出来事が降り掛かってきます。それにどの様に対応するか、そして、謎をどの様に解決して行くのかは、他の大沢作品と共通で . . . 本文を読む
カーリン・スミルノフ著、早川書房刊名高いミレニアムシリーズの新作に気付いて、早速読み始めました。3作目までのオリジナルのシリーズのダークさ、作者が変わった4作から6作の「アクション」モリモリ。また作者が変わって7作目の本。
登場人物が同じなだけで、内容は、価値観、視点、表現が全く異なる作品でした。短い章毎に一場面を記述し、ついでに、唐突で思わせぶりなフレーズを散りばめ、それらが積み重なって全体像 . . . 本文を読む
原作・原案など:西村ミツル、作画:梶川卓郎、芳文社刊週刊漫画TIMESに2011年3月18日号から2024年4月12日号まで連載されたマンガです。全37巻中、13巻からは、梶川卓郎さんが全て手掛けているそうです。
現代から織田信長の時代にタイムスリップしたシェフである主人公が、縁あって信長のシェフに召し抱えられることになりました。当時の食材を使って、現代の様々な料理を再現し信長を初め多くの人を驚 . . . 本文を読む