佐木隆三著、文春文庫刊日本が富国強兵の為に必須と判断して建設した八幡製鉄所で働き、後に宿老と呼ばれる職人の最高位に就き、98歳で死ぬまで鉄作りに携わっていた田中熊吉の生涯を軸に、周囲の人々や出来事を辿った物語です。
著者の佐木隆三はさんは、「復讐するは我にあり」で直木賞を受賞して著名ですが、作家になるまでは、八幡製鉄所で働き、最後は社内報を作る部署に配属され、田中熊吉さんに何度かインタビューを行 . . . 本文を読む
岩崎育夫著、中公新書刊シンガポールの知識は、以前は日本人の人気観光地であったことと、国民一人当たりのGDPが日本を上回っていること、そして、水を対岸のマレーシアから輸入していることくらいでした。目立った資源がない極小の国が、何故、先進国の一員になれたのかという疑問が頭の片隅にあったので、本書を手に取りました。文体が平易で無駄がなく、シンガポールの基礎となったイギリスの植民地時代から説き起こし、大ま . . . 本文を読む
杉本貴司著、日本経済新聞出版今まで、アメリカのネット関係の成功者をテーマにした書籍を色々読みました。アマゾンでの評価を参考にして選んだお陰か、ほとんどが良い読後感でした。
日本人の成功者の著作は、アメリカ人が書くものとはかなり違った表現で、事実だけでなく人柄や信念などの人間性を色濃く反映している様に感じます。「プロジェクトX」の様な人間ドラマ仕立ての傾向を感じます。しかし、どちらの書きぶりも内容 . . . 本文を読む
林良祐著、朝日新書刊TOTOのウォシュレット開発に携わった著者が、日本のウォシュレットの登場以降、TOTOが開発した様々なウォシュレットを紹介し、開発時の目標と苦闘を簡単に振り返り、執筆当時の2011年時点での将来展望を描いています。期待に反して技術的な分野の掘り下げが少なかったので、ちょっと残念感が残りました。
ウォシュレットの開発・販売競争が激しかったので、世界に類を見ない日本独自のウォシュ . . . 本文を読む
仁瓶勉著、講談社刊日本のSF漫画です。全9巻の単行本で読みました。遠い未来の人工天体アポシムズで起きる物語です。
この類いの漫画はほとんど読んだことがないせいか、勝手が分からず読み進めましたが、却って予断を持たず読み進めました。「風の谷のナウシカ」を思わせる地底世界の描き方や描画のタッチが独特です。登場する様々なメカや人物達も独創的です。
人物の描き分けが不十分なのか、この手の作品読むのに必要 . . . 本文を読む
月村了衛著、実業之日本社刊2021年出版の著作です。月村さんの作品はバラエティに富んでいて内容のトーンも様々です。本作は、中国のハニートラップに引っかかったノンキャリアの農水省中堅職員の物語です。この主人公が、「ザ・公務員」の典型的な人物で何の野心もない穏やかで平凡な人物。また、中国政府機関に命じられたハニートラップの女性は、見かけが平凡で心優しい留学生。
この二人が、中国の諜報機関と日本の公安 . . . 本文を読む
月村了衛著、小学館刊日本と中国の合意に基づいて、警視庁に新しい係が作られた。中国の意に沿った組織であろうと言うことから、周囲から「香港警察東京分室」と揶揄されている。日本警察と香港警察から同数が選抜された2チームから編成されるが、どちらも相手方の言語への十分な能力が求められる。メンバーの経歴は多様だが、実は優秀な人材が集められている様で個性も様々。
最初の任務は、香港の大学教授であった女性で、か . . . 本文を読む
宇野重規著、講談社選書メチエ刊大分前に、フランスの貴族出身の法律家が、アメリカを訪問し様々な見聞を得て、「アメリカのデモクラシー」という著作でアメリカの民主主義を分析し論じていることを知りました。永らく頭の片隅に引っかかっていたので、本書を手に取りました。
著者はトクヴィルの研究家で、本書は、トクヴィルの生い立ちと思想遍歴を簡単に振り返り、その代表作である「アメリカのデモクラシー」の主要な論点を . . . 本文を読む
渡辺みどり著、中公文庫刊満州国を作った関東軍が主導して満洲国皇帝、愛新覚羅溥儀の弟、愛新覚羅溥傑との政略結婚が行われた。慎重な検討を経て、溥傑本人の意向を確認して選ばれた女性が、本書の主人公、愛新覚羅浩(嵯峨浩)であった。
幸いなことに、結婚した二人は相性が良く愛情を育み子をなした。しかし、日本国の敗戦により満州国が崩壊し、皇弟の溥傑と浩は離ればなれになり、特に浩は次女と共に地獄の様な逃避行と恐 . . . 本文を読む
水木しげる著、角川書店刊仏教説話集の日本霊異記から7編を取り上げた漫画集です。小学生の頃、家の向かいの床屋に行くと漫画本が沢山置いてあり、その中に水木しげるさんの「墓場の鬼太郎」がありました。不気味で怖いけれどユーモアがあって、頭をカットして貰いながら。夢中で読んだ記憶があります。
その水木さんが取り上げた作品ですが、「怪人」という本に、2012-2014年に連載された作品のようです。晩年の作品 . . . 本文を読む
藤岡換太郎著、ブルーバックス刊ブラタモリで沢山の地質関係の知識に触れました。番組で特異な地形を見て、様々な地層の形成や変化の過程を少しずつ理解した様に思います。
興味を持って関係する書籍を読みましたが、一般向けの地質に関する著作は少なく、専門的過ぎたり入門に偏っている、あるいは興味を持てないオタク的な内容の本が多い様に感じます。だから、なかなか良い本に巡り会えませんでした。
本書は、その程度の . . . 本文を読む
R・P・ファインマン著、岩波書店刊アメリカの物理学者で、原子爆弾の開発にも関わり、後にノーベル賞を受賞したリチャード・P・ファインマンの著作です。
少年時代に知り合った女性と結婚し、病を得た妻が亡くなるまでの顛末を、アメリカの小説風の文章で語る「人がどう思おうとかまわない」が初めに掲載されています。ファインマンさんの淡々とした文章と尋常でない理性的な生き方に少しずつ馴染みながら読み進めて行くと・ . . . 本文を読む
マーク・グリーニー著、早川書房刊グレイマン・シリーズ12作目の作品です。最新刊で、ウクライナ戦争を背景にした世界的な陰謀を暴く「鍵」を巡る死闘の物語です。一作ごとにレベルを上げた作品を書き続けるのは大変なことと思いますが、著者は今作でも、その難題をクリアーしています。また、主人公のコートランド・ジェントリーとヒロイン(?)のゾーヤ・ザハロフの軌跡が交わります。読み終えて、もう次回作が待ち遠しくて堪 . . . 本文を読む
坂村健著、角川新書刊「デジタルトランスフォーメーション」の略語であるDXに関する著作です。
「DXとは何か」に関する本質的な議論を分かり易く展開しています。その前提となる「オープン化」の不可欠性を論じた後、日本人に根強く残る保守的な傾向を回避するために必要な「程度の問題」について解説しています。
日本の歴史を振り返ると、島国故に内向きになり勝ちで、明治維新と敗戦による不可避で劇的な転換期になる . . . 本文を読む
月村了衛著、朝日新聞出版高橋洋一さんをモデルとしたと思しき主人公が、左遷された部署から大蔵省(現「財務省」)に返り咲いた頃、ノーパンスキヤキ騒動の中で、大蔵省の保守本流の目を欺いて反撃する話です。ヤクザや政治家を交えた様々な人を交えユーモアたっぷりに描いていて、途中で何度も笑ってしまいました。
残念ながら、主人公と離婚した元妻が十分に描き切れてない様に思います。とは言いながら面白かった。---- . . . 本文を読む