白石典之著、中公新書刊モンゴル帝国の礎を築いたチンギス・カンに関心がありましたが、北方謙三さんの「チンギス紀」を読んで、更に関心が強まりました。歴史に大きな足跡を残しながら、情報が余り多くないそうです。折に触れ、関係する書籍を探しましたが、本書が今の私に合っている様に思い手に取りました。 著者はモンゴル考古学を専門とする大学教授で、著作は、チンギスとモンゴルに関するものばかりです。
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2018年製作の韓国のテレビドラマです。「ラブコメ」ですが、色々な要素が混じり合った暖かい物語です。
傷付いた主人公が、純朴な島民に触れている間に、本来の暖かい人間性を取り戻して行く過程が丁寧に描かれています。笑いがロマンスの要素より大きく、よく出来た脚本でした。
島民を演じた方々が素晴らしく、夫を亡くした本妻と妾を演じたホ・ジンさんとソン・ビョンスクさん、恋敵の父親役のイ・ハヌィさん達が際立 . . . 本文を読む
増田隆一著、東京大学出版会刊自宅にハクビシンが出現しました。日中、妻が目撃したのですが、一瞬間「何か?」と問う様な顔つきで見たそうです。その後しばらく、寝ていると天井裏を走っている音が聞こえて目が覚めました。ハクビシンの糞害は有名で、結構な被害があるそうなので心配しました。幸いにも、その後は足音が絶え、出会うことがなくなりましたが、また再訪することがあるかもしれないので、家屋の周りの隙間を塞ぎまし . . . 本文を読む
鈴木大介著、ちくま新書刊30年近い前に「オレオレ詐欺」の実態を訊いたのは同級生の警察官から。「まぁ、増えてるんだよね」という話から、オレオレ詐欺をモチーフにしたショートコントに大笑いしました。まだ40代前半で他人事に訊いていましたが、部下の父親から電話があり、「息子が電車内で痴漢をして現行犯で捕まり・・・・、というような電話があったが、確認のため本人の携帯に電話したが出ないので職場に電話しました」 . . . 本文を読む
ウィリアム・H・マクニール著、中公文庫刊人類と疫病の関係のおおよそを知っている積もりでしたが、本書を読んで勘違いだと気付きました、人類の全歴史を通じた疫病の影響を論じています。具体的な疫病の波及例は、西洋人が南米へ持ち込んだ結果生じた惨状を述べている以外は、余り詳細に論じていません。
個々具体的な例ではなく、疫病の原因に触れつつ、人類の諸活動との相互の影響を年代と、その時代ごとの主要な国家及び諸 . . . 本文を読む
北村滋著、文藝春秋刊外事警察は多くの警察小説で悪者として登場しますが、本書によれば、その特異な所掌事務故に、警察内部においても特殊な位置を占めているようです。一方で、国家公務員キャリア同志の競争や対立など、組織の性格以外の融和を阻害する要因も多いと思います。
そんな環境下で、著者は才能を生かし、能力を高め、やがて安倍政権の中枢で活躍されました。誠に見事な経歴ですが、本書から感じ取られる人格の高潔 . . . 本文を読む
藤田元信著、クロスメディア・パブリッシング刊過去の歴史において、それまでの戦い方を一変させ勝敗を決した新しい兵器や戦い方の例が沢山あります。飛行機、レーダー、原子爆弾、あるいはUボート対策として編み出されたオペレーションズ・リサーチの活用などがあります。本書は、そのような観点から、経緯がはっきりしている19世紀以降について、革新的な兵器や組織、運用、開発、戦い方まで、幅広く取り上げて分析しています . . . 本文を読む
ピエロ・マルティン著、朝日新聞出版刊現代社会のあらゆる面で基礎となっている単位の国際基準である「国際単位系」は、下記リンクに示されている様に「基本単位」と「組立単位」に分類されています。本書は、「基本単位」の意味と単位の成立過程や成立に貢献したり発見したりした人物を紹介しつつ、分かり易く、内容を解説しています。理科系の人であれば、常識の範囲の事柄が多いものの、登場する人物やエピーソードは、中々興味 . . . 本文を読む
2022年製作の韓国の映画です。全国でトップテンに入る者だけが入れる高校で落ちこぼれている男子が主人公です。母子家庭で豊かではないものの特待生として入学しましたが、担任の数学の先生からは、普通校への転校を進められています。ある晩、学生寮の友人達に頼まれ、酒と食べ物を買いに出掛けますが、帰ってきた時に警備員に見つかってしまい・・・
ありそうな話ですが、中盤からは思い掛けない展開が続き、暖かい感動に . . . 本文を読む
R.P.ファインマン著、大貫昌子約、岩波書店シリーズものらしい「困ります、ファインマンさん」を読んで、とても面白かったので、本書を手に取りました。本書は、下記リンク中の「エッセイ・伝記」中の一作目に当たります。上下二巻で、ファインマンの好奇心旺盛で偏見や先入観の無い、純粋無垢な好奇心に突き動かされて、興味を持った対象に向かっていったエピソードの数々が語らえています。
今風に言えば「一切忖度無し! . . . 本文を読む
山舩晃太郎著、新潮社刊熱血球児が夢破れて野球への夢を諦め、次に見つけた目標が・・・・・ほとんど英語力が無いまま、アメリカの大学院への入学を志して、単身渡米し・・・・・
驚異的な情熱と努力で、入学の門をこじ開けた著者は、その後も猛烈な努力を積み重ね、やがて、海洋考古学上、画期的な論文を完成させて、更なる高みを目指します。
信じ難い挑戦の連続にハラハラドキドキ。明るく分かり易い文章に、グイグイ引き . . . 本文を読む
佐木隆三著、文春文庫刊日本が富国強兵の為に必須と判断して建設した八幡製鉄所で働き、後に宿老と呼ばれる職人の最高位に就き、98歳で死ぬまで鉄作りに携わっていた田中熊吉の生涯を軸に、周囲の人々や出来事を辿った物語です。
著者の佐木隆三はさんは、「復讐するは我にあり」で直木賞を受賞して著名ですが、作家になるまでは、八幡製鉄所で働き、最後は社内報を作る部署に配属され、田中熊吉さんに何度かインタビューを行 . . . 本文を読む
岩崎育夫著、中公新書刊シンガポールの知識は、以前は日本人の人気観光地であったことと、国民一人当たりのGDPが日本を上回っていること、そして、水を対岸のマレーシアから輸入していることくらいでした。目立った資源がない極小の国が、何故、先進国の一員になれたのかという疑問が頭の片隅にあったので、本書を手に取りました。文体が平易で無駄がなく、シンガポールの基礎となったイギリスの植民地時代から説き起こし、大ま . . . 本文を読む
杉本貴司著、日本経済新聞出版今まで、アメリカのネット関係の成功者をテーマにした書籍を色々読みました。アマゾンでの評価を参考にして選んだお陰か、ほとんどが良い読後感でした。
日本人の成功者の著作は、アメリカ人が書くものとはかなり違った表現で、事実だけでなく人柄や信念などの人間性を色濃く反映している様に感じます。「プロジェクトX」の様な人間ドラマ仕立ての傾向を感じます。しかし、どちらの書きぶりも内容 . . . 本文を読む
林良祐著、朝日新書刊TOTOのウォシュレット開発に携わった著者が、日本のウォシュレットの登場以降、TOTOが開発した様々なウォシュレットを紹介し、開発時の目標と苦闘を簡単に振り返り、執筆当時の2011年時点での将来展望を描いています。期待に反して技術的な分野の掘り下げが少なかったので、ちょっと残念感が残りました。
ウォシュレットの開発・販売競争が激しかったので、世界に類を見ない日本独自のウォシュ . . . 本文を読む