桜木紫乃著、集英社文庫刊
あるラブホテルとその関係者が登場する短編集です。釧路湿原を臨む高台に建てられた安普請のラブホテルが廃墟となって後、男女が撮影の場所としてホテルを使用する短編から始まります。それぞれが抱える闇と外界に対する構えが、日常生活にふと揺り動かされて立ち現れ、一瞬奈落を垣間見たり、束の間の平穏を抱いたり。淡々とした文章から、次第に生きる悲しみが湧き上がって来ます。圧巻は「星を見てい . . . 本文を読む
福福荘の住人である塗装工の福田は、仕事をきちんとこなし後輩や周囲の面倒を良くみる中年のおじさん。しかし、女性に全く興味を示さないことを心配した仕事仲間の島木から女性を紹介されるが、上手く進展しません。その女性はついに愛想を尽かしますが、去る時に、「福田さんは心に深い闇を抱えている」と語ります。福田は中学時代の同級生の悪ふざけで深く傷付き女性への恐怖心を持っていたのでした。そんな折、悪ふざけで傷付け . . . 本文を読む
ジョン・ノーブル・ウィルフォード著、河出書房新社刊
今からほぼ40年前に、仕事で住宅地図を使い始めて感動しました。近年になって、住宅地図の誕生物語とその価値の多様性を知り、若い日の感動を思い返しましたが、本書は、同様に日常生活に欠かせない地図を製作するための先人の苦闘が描かれています。
グランドキャニオンの、針先のような切り立った頂に登り測量する場面から始まります。そして2000年程前の賢人達の考 . . . 本文を読む
2015年製作の中国・香港合作映画です。変わったタイトルだと思っていたら、主演で監督のサモ・ハンが「燃えよドラゴン」へのオマージュ作品として「燃えよデブゴン」という映画の監督・主演をした為でした。かなり有名な人だと言うことですが、私は全く知らないで本作のアクションを見てびっくりしました。凄い。
脚本は、アクション映画と言うよりも、暖かみのあるコメディ映画の要素が強いため、細かいことに目くじらを立て . . . 本文を読む
昔、テレビドラマで樹木希林さんが老婆の役で出演していた折に変な手袋をしていました。指の部分がないのです。変わった手袋だなぁと思いました。後年それは「指ぬき手袋」ということを知りました。
・・・それから40年経ったある時、その手袋が売られていました。ホームセンターで見切り販売でたったの100円。閃くものがあり購入しました。60歳位になると、やたら寒いのです。とにかく重ね着をしますが、特に首が大切です . . . 本文を読む
アメリカの現代社会に背を向けて森の奥深くで子供達を育てる夫婦ですが、妻が精神疾患で入院したものの、自らの命を絶ってしまった。残された夫と6人の子供達が、故人の遺言を全うするために山を下りて、社会へ出て行きますが・・・・。
本作の魅力は、父親と子供達家族の個性とハーモニーです。また、父親役のヴィゴ・モーテンセンの深みのある出色の演技でした。子供達の魅力と相まって本作の色合いをより鮮やかにしています。 . . . 本文を読む
正月に食べきれなかった餅を薄く切っておき、十分に乾燥させておきます。それを画像のごとく調理して食します。調理方法は
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(1)なるべく重ならないように皿に載せ(画像上段)、ラップしないでそのままレンジに入れます。
(2)レンジ(私の場合は700W)で30秒チンし、一旦レンジから皿毎 . . . 本文を読む
2017年公開のアメリカ映画です。シリーズ3作目です。私は第2作目を見ましたが、元々の「X-メン」シリーズを見ていないので、物語の背景を十分理解していないため、ストーリーを十分に理解でいません。そのためか、感情移入できませんでした。
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URL => https://ja.wikipedia. . . . 本文を読む
藤村里美著、東京都写真美術館監修、新潮社トンボの本刊
シリーズ二作目の図書です。非常に多くの作者が登場し、しかも学術的で正確な解説がコンパクトに、豊富な写真の図版と共に紹介されている優れたシリーズ本です。本巻では20世紀初頭から戦前までのスタイルの変遷を解説していますが、そうした動きの発祥の地(欧米の国々)での動きと人々、更に日本への影響と動向を述べています。藝術全般に様式や運動が相互に影響し合い . . . 本文を読む
2017年日本公開のアメリカのSF映画です。ある日突然、世界12箇所に謎の宇宙船が出現し、各国は意思疎通に取り組み始めますが、アメリカでは主人公のルーイーズが優れた言語学者であることから協力を求められます。人類とは全く異なるコミュニケーションの手段であるため、作業は難航しますが、ようやく地球に来た理由が判明し・・・。
途中で何度も亡くなった一人娘の思い出がフラッシュバックで登場しますが、その意味が . . . 本文を読む
澤田瞳子著、読売新聞朝刊連載
澤田さんの作品を初めて読みました。私の住む地方が舞台の物語なので興味津々で読み進みましたが、平将門の時代の政治、文化、風俗を奥行き深く描いており、用いる言葉も格調高くて驚きましたが、歴史学者と知り納得。
父親との確執故に屈折した思いを持つ主人公と、世に二つとない素晴らしい楽器を求める従者が板東に赴き将門に巡り会い、将門の滅びるまでの時を共にする物語です。至高の声と楽器 . . . 本文を読む
2016年製作のアメリカ映画です。かつて特殊部隊工作員だった主人公が、妻を殺害され、警察がせっかく捕まえた犯人一味の一人を釈放してしまったことから復讐に乗り出す話です。何でもありの脚本で穴だらけですが、水戸黄門の1時間ドラマのようなものと思って見るべきでしょう。主演のトラボルタが相変わらず魅力的でしたが、先日観た「マローダーズ 襲撃者」に主演したクリストファー・メローニが主人公のかつての同僚で主人 . . . 本文を読む
赤木昭夫著、筑摩新書刊
映画を数多く見ていると、アメリカ映画らしさに飽きてしまうことがあります。特に近作は派手な演出が売りになっているシリーズものが増えているように思えます。また、冷静に考えると、とても大人が見る対象ではない(子供向けの内容の)作品が多くなっているように感じます。とはいっても気分が見てすっきりするので見ていますけど・・・・。
本書は映画の歴史、製作手法の変遷、ハリウッドが圧倒的な地 . . . 本文を読む
リアルなおばちゃん7人を演じた皆さんが素晴らしかった。素人が3人いるとのこと。脚本も良し。ツアーガイドの情けなさは、似た感じの実物に出会ったことがあったので、納得でした。ツアーガイドは大変らしいです。
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URL => http://takimini.jp/
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評価は5です。
※壁紙 . . . 本文を読む
ミシェル・フィリポフ著、原書房刊
今日では、食事の際に最も注意すべき高カロリー食物である脂肪について、人類の食物史からひもといています。十分な食料がなかった時代、つまり近代までは、脂肪は富の象徴であり続けたそうです。貴金属と同様、希少なものに価値を見いだす人間の性に起因するのでしょうが、そもそもは、高カロリーで希少な食物であったので生存にとり大変に貴重であったのでした。
本書ではそのような歴史を述 . . . 本文を読む