猫 周公のコラム

スケッチとエッセイ

画家 ルソーの生き方に惹かれて

2006年12月26日 | Weblog
絵を鑑賞する場合、画家の生き様を知っておくと、一層興味が持てると思う。

自分はアンリ・ルソー(1844~1910)の生き方に惹かれている。
働きながら、中年から絵を描き始めたこととか、人がどういおうが自分の描きかたで独自の絵を描いてきたことや、そして厳しい現実の中でも夢とか幻想を追い続けて生きてきたことなどに惹かれている。

彼はパリの税関の職員を勤めながら、余暇に絵を描いていた。
本格的に絵を描き始めたのは中年になってからだ。
しかも、特別に絵を勉強したわけでもなく、自分のイメージに拘って自分なりに独自の描きかたで制作し続けてきた。

作品をみると、実に不思議な雰囲気のする絵ばかりである。
代表作の「眠るジプシー女」や「蛇使いの女」「風景の中の自画像」などをみると実にミステリックな絵である。
彼の頭の中には常に夢幻があり、現実と夢幻の区分がなかったようだ。

当時、誰もが出品できる、無審査の公募展であるアンデバンダン展に出し続けていたが、彼の絵は「子供が描くような絵で、稚拙きわまる」と笑いものにされ「この画家は脳病院に入院中なのか?」とまでいわれた。当然絵は売れず貧困な生活が続いた。

しかし、彼は純粋にただひたすらに描き続けた。
性格が純粋・朴訥がゆえに、からかわれ騙され続けてきた一生だったようだ。
ただ、ピカソとアポリネールだけが彼の絵を理解して、買っていたということである。

そんな、不遇な画家はアル中のため施療院で66歳の生命を閉じた。
葬儀には、僅か7人が参列しただけだった。

現在、愛知県美術館で「ルソー展」を開催している。
会期は12月20日~2月12日である。

アンリ・ルソーの一生はインターネットで見ることが出来る。
「NACK」という浪速高美術部OBサイトのホームページの中の「BIOGRAPH画家年表」のアンリ・ルソーを見てほしい。
このブログも「NACK」を参考にした。


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