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214 七時雨山

 5月5日七時雨山に出掛けた。
 国道282号線で八幡平市平舘に入る。”ショッピングプラザくどう”を過ぎると国道は左にカーブし、間もなくT字路があるのでその交差点で右折して県道17号線に入り寺田に向かう。かつては鹿角街道と呼ばれた道路である。
 道なりに進むと、道路左手に白坂観音が現れる。そこはT字路になっており、左の道はかつての鹿角街道であり、ここを通っても七時雨に登れる。が、今回はここは真っ直ぐ進み、道なりに北上する。
 その途中の”西根団地”付近からの
《1 七時雨頂上》(平成21年5月5日撮影)

である。七時雨山は双耳峰で、左が南峰、右が北峰である。
 さらに道なりに北上すると、やがて目の前が開け、田代高原が広がる。
《2 田代高原から見た七時雨山》(平成21年5月5日撮影)

 道は西方向に進み、間もなく左手に
《3 七時雨山荘》(平成21年5月5日撮影)

の案内が現れる。
 そこが今回の登山口なので
《4 七時雨山荘》(平成21年5月5日撮影)

に向かい、駐車する。
《5 登山路は最初砂利道》(平成21年5月5日撮影)

 道路沿いには
《6 ミズバショウ》(平成21年5月5日撮影)

《7 〃 》(平成21年5月5日撮影)

がまだ咲いていた。
 そして、登山路は牧場内に入ることになり、その道を進んでゆくと右手に
《8 オオヤマザクラの大木》(平成21年5月5日撮影)

《9 〃 》(平成21年5月5日撮影)

が現れ、
《10 何輪かが開花》(平成21年5月5日撮影)

していた。
 また、牧野には
《11 エゾエンゴサク》(平成21年5月5日撮影)

《12 キクザキイチリンソウ》(平成21年5月5日撮影)

《13 カタクリ》(平成21年5月5日撮影)

《14 〃 》(平成21年5月5日撮影)

《15 ニリンソウ》(平成21年5月5日撮影)

《16 ネコノメソウ》(平成21年5月5日撮影)

などが咲いている。
 また、牧野には長閑な鳴き声が聞こえるだけあって
《17 放牧和牛》(平成21年5月5日撮影)

が草を喰んだり、5月とはいえ温かくて日射しが強く
《18 木陰で憩う牛》(平成21年5月5日撮影)

もいる。
 また、牧野には 
《19 こんな大木》(平成21年5月5日撮影)

があり、近づいてみると
《20 マダの古木》(平成21年5月5日撮影)

であった。
 七時雨付近の鹿角街道には道沿いに見事なマダの並木があり、雪の多い山中を通る旅人を守ったと伝えられている。

 ここで、冬の七時雨山が詠み込まれている賢治の文語詩を挙げると、
       車中〔二〕
   稜堀山の巌の稜、 一木を宙に旋るころ
   まなじり深き伯楽は、 しんぶんをこそひろげたれ。
   地平は雪と藍の松、 氷を着るは七時雨、
   ばらのむすめはくつろぎて、 けいとのまりをとりいでぬ。

     <『校本 宮沢賢治全集 第五巻』(筑摩書房)より>
があるようだ。

 ところで、牧野から北の方角を見るとそこには田代山が横たわるが、その尾根の上の
《21 青空に黄色い点があり》(平成21年5月5日撮影)

それは青空に舞う
《22 ハングライダー》(平成21年5月5日撮影)
 
の鳥人だった。風の精霊になってさぞかし気持ちの良いことであろうし、”鳥の眼”で眺める広大な景観が見事なことだろう。
 悔しいから、
《23 せめて”虫の眼”になって青空を眺めてみよう》(平成21年5月5日撮影)

 そして、牧野の向こう北北西方向に見えるのは
《24 稲庭岳》(平成21年5月5日撮影)

その稲庭岳の裾野の向こうに霞んで見えるのは
《25 八甲田山であろう》(平成21年5月5日撮影)

 そうこうしているうちに
《26 七時雨登山道入口の木標》(平成21年5月5日撮影)

が現れたので牧野と別れ、七時雨の山中の登山路を登って行こう。
 林床の山野草としてはキクザキイチゲが多いが
《27 エンレイソウ》(平成21年5月5日撮影)


《28 コキンバイ》(平成21年5月5日撮影)

そして、
《29 鮮やかな花の色のスミレ》(平成21年5月5日撮影)

も見られる。
《30 アケボノスミレだろう》(平成21年5月5日撮影)

 一方、樹木の方だが
《31 でっかいダケカンバ》(平成21年5月5日撮影)


《32 変わった形のブナ》(平成21年5月5日撮影)

もある。
 登山路脇の
《33 キクザキイチゲ》(平成21年5月5日撮影)

が木洩れ日に輝いていて美しい。
 大分高度が上がったようだ。
《34 残雪のある尾根筋》(平成21年5月5日撮影)

が見える。ほどなく、
《35 九合目》(平成21年5月5日撮影)

の標識があり、ここを過ぎてからは先程の残雪のある尾根筋を歩む。その尾根にあった
《36 鮮やかな色のキクザキイチゲ》(平成21年5月5日撮影)

である。
 尾根から北北東方向を眺めると
《37 雲の影がかかる西岳》(平成21年5月5日撮影)

が見られる。
 また、尾根の逆サイドにはすぐそこに
《38 七時雨の南峰》(平成21年5月5日撮影)

が迫っている。
 そして、あっという間に七時雨の北峰の頂上に到着
《39 そこに一等三角点》(平成21年5月5日撮影)

がある。
 七時雨山は双耳峰になっているから、次は南峯を目指すため一旦下りとなる。そこから
《40 振り返った北峰》(平成21年5月5日撮影)

とこれから上って行く
《41 南峰》(平成21年5月5日撮影)

である。登り切った  
《44 南峰頂上》(平成21年5月5日撮影)

には権現様が安置されている。
 そこからは360°の眺望が可能で
《45 岩手山》(平成21年5月5日撮影)

が先ず目立つ。
 
 それこそ84年前の5月、賢治は次のような詩を詠んでいる。
   三三七 『国立公園候補地に関する意見』    

  どうですか この鎔岩流は
  殺風景なもんですなあ
  噴き出してから何年たつかは知りませんが
  かう日が照ると空気の渦がぐらぐらたって
  まるで大きな鍋ですな
  いたゞきの雪もあをあを煮えさうです
  まあパンをおあがりなさい
  いったいこゝをどういふわけで、
  国立公園候補地に
  みんなが運動せんですか
  いや可能性
  それは充分ありますよ
  もちろん山をぜんたいです
  うしろの方の火口湖 温泉 もちろんですな
  鞍掛山もむろんです
  ぜんたい鞍掛山はです
  Ur-Iwateとも申すべく
  大地獄よりまだ前の
  大きな火口のヘりですからな
  さうしてこゝは特に地獄にこしらえる
  愛嬌たっぷり東洋風にやるですな
  鎗のかたちの赤い柵
  枯木を凄くあしらひまして
  あちこち花を植えますな
  花といってもなんですな
  きちがひなすびまむしさう
  それから黒いとりかぶとなど、
  とにかく悪くやることですな
  さうして置いて、
  世界中から集った
  猾るいやつらや悪どいやつの
  頭をみんな剃ってやり
  あちこち石で門を組む
  死出の山路のほととぎす
  三途の川のかちわたし
  六道の辻
  えんまの庁から胎内くぐり
  はだしでぐるぐるひっぱりまはし
  それで罪障消滅として
  天国行きのにせ免状を売りつける
  しまひはそこの三つ森山で
  交響楽をやりますな
  第一楽章 アレグロブリオははねるがごとく
  第二楽章 アンダンテ やゝうなるがごとく
  第三楽章 なげくがごとく
  第四楽章 死の気持ち
  よくあるとほりはじめは大へんかなしくて
  それからだんだん歓喜になって
  最后は山のこっちの方へ
  野砲を二門かくして置いて
  電気でずどんと実弾をやる
  Aワンだなと思ったときは
  もうほんものの三途の川へ行ってるですな
  ところがこゝで予習をつんでゐますから
  誰もすこしもまごつかない またわたくしもまごつかない
  さあパンをおあがりなさい
  向ふの山は七時雨
  陶器に描いた藍の絵で
  あいつがつまり背景ですな

   <『校本 宮沢賢治全集 第三巻』(筑摩書房)より>
賢治はあの岩手山の焼走りから、この七時雨山を背景に見立てていたのだろう。

 そして、頭を右方向に巡らせば順に
《46 裏岩手連峰》(平成21年5月5日撮影)


《47 安比岳(スキー場)》(平成21年5月5日撮影)

そして
《48 比山と高倉山?》(平成21年5月5日撮影)

だろうか、等が眺められる。
 なお、南峰頂上には可愛い
《49 スミレ》(平成21年5月5日撮影)

が咲いていた。
《50 フイリミヤマスミレだろう》(平成21年5月5日撮影)

また、
《51 ヒメイチゲ》(平成21年5月5日撮影)

《52 〃 》(平成21年5月5日撮影)

が健気であった。

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