宮澤賢治の里より

下根子桜時代の真実の宮澤賢治を知りたくて、賢治の周辺を彷徨う。

まさかこの定説までもが

2023年09月25日 | 「賢治研究」の更なる発展のために

 さてこれで、『校本宮澤賢治全集』には幾つかの杜撰な点があることを否定出来なくなったのだが、あの石井洋二郎氏の警鐘、
 あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、「教養学部」という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる「教養」というものの本質なのだと、私は思います。〈「東大大学院総合文化研究科・教養学部」HP総合情報平成26年度教養学部学位記伝達式式辞〉
が、ある定説に対してもまたもや鳴った。
 それは、畏れ多くて私如きが軽々しく触れるべきものではないと今までは決め込んでいた、昭和8年9月20日、賢治終焉前日の定説に対してであった。すなわち、あの、
九月二〇日(水) 前夜の冷気がきつかったか、呼吸が苦しくなり、容態は急変した。花巻病院より来診があり、急性肺炎とのことである。…投稿者略…
 夜七時ころ、農家の人が肥料のことで相談にきた。どこの人か家の者にはわからなかったが、とにかく来客の旨を通じると、「そういう用ならばぜひあわなくては」といい、衣服を改めて二階からおりていった。玄関の板の間に正座し、その人のまわりくどい話をていねいに聞いていた。家人はみないらいらし、早く切りあげればよいのにと焦ったがなかなか話は終らず、政次郎は憤りの色をあらわし、イチははらはらして落ちつかなかった。話はおよそ一時間ばかりのことであったが何時間にも思われるほど長く感じられ、その人が帰るといそいで賢治を二階へ抱えあげた。
───★   〈『校本宮澤賢治全集第十四巻』(筑摩書房)714p~〉
という定説に対してだ。賢治の終焉に直接関わることであり、他のこととは違うとこれまでの私は特別扱いをしてきた最たるものだが、このような面談は冷静に考えれば常識的にあり得ないことはたしかにほぼ明らかだ。
 私は、まさかこの定説までもが……と一気に不安に襲われてしまった。

【新刊案内】
 近々『このままでいいのですか 『校本宮澤賢治全集』の杜撰』(鈴木 守著、録繙堂出版、1,000円(税込み))

が、岩手県内の書店で販売されます。
 なお令和5年9月20日以降であれば、岩手県外にお住まいの方も含め、本書の購入をご希望の場合は葉書か電話にて、入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金として1,000円分(送料無料)の切手を送って下さい。
            〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守  ☎ 0198-24-9813
【旧刊案内】
『本統の賢治と本当の露』(鈴木守著、ツーワンライフ出版、定価(本体価格1,500円+税)

 岩手県内の書店やアマゾン等でネット販売されおります。
 なお、葉書か電話にて、入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金として1,500円分(送料無料)の切手を送って下さい。
            〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守  ☎ 0198-24-9813

『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』(鈴木 守著、ツーワンライフ出版、550円(税込み))

 アマゾン等でネット販売されております

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