岩手県花巻市と聞いたら何を連想するだろうか。宮沢賢治?温泉郷?ウマヅラ電車?(さすがに古すぎるか)…もしマルカン大食堂を連想したなら、その人は行ったことがあるか、花巻に関心を持って調べたことのある人だろう。
そんじょそこらのとは違う、やたらクリームの量が多く幾重にも巻かれたソフトクリームを筆頭に、めちゃくちゃ品数の多い展望レストランが、マルカン大食堂。マルカンデパートの大食堂と言う意味だが、その本体であるデパートが営業不振と建物の老朽化と言うダブルパンチで閉店することになり、当然その大食堂も閉鎖となるはずだった。だがそれを知った地元の高校生が存続を訴える署名運動を始めたのを皮切りに、多くの人が様々な形で大食堂存続を訴え、運動に参加し或いは募金に協力した結果、デパートは閉店となったが大食堂は運営会社を変えた形で、ただし店内はほぼそのまま、厨房は総取り換えと言うスタイルで存続いや再開店した。
本書は地元新聞社の記者とかが書いた本ではなく、その存続に関わった当人が書いている点がユニーク。どういうスキームで存続が決まったのか、私企業の存続に対する自治体の態度はどうだったのか(想像する通りだ)、どれほどの人々が関わり、どれほどの人々が再開店に押し掛けたのか、つまびらかにされている。
先日の青春18きっぷ旅で花巻を通った時、マルカン大食堂に寄りたかったのだが時間の都合で下車できず残念に思っていた。本書を読んで、さらに残念に思う。次こそは、必ず再訪したい。
2025年2月6日 自宅にて読了
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