こんにちは。駿台シンガポール校です。
今回は高校入試や模擬試験ですぐに使える古文実践テクニックについてお話しします。
まずは、次の問題を見てください。
問 傍線部「さらずまかりぬべければ」の解釈として適切なものを次から選べ。
㋐ここを去るという気持ちがまかり通らないので
㋑ここを去りたくないという気持ちがまかり通らないので
㋒避けることができず行かなければならないので
㋓避けることかできず行かなければならないのならば
㋔そうではなく行かなければならないと
これは古文の問題でよく見かける解釈問題ですね。さて、皆さんはこの問題をどうやって解きますか?
「さらず」とあるけど「ず」があるから否定なので、とりあえず㋐じゃない……「まかり」ってどういう意味だったっけ?……など単語の意味でまず考えていくのではないでしょうか。
たしかにそのやり方も間違ってはいません。しかし、こういった解釈問題の性格上、もうひとつ忘れてはならない要素があります。
それは「文法的要素」です。
傍線部の文末「べければ」に注目してください。
この「ば」は接続助詞で皆さんにもお馴染みの「順接の確定条件」の「ば」です。
「ば」には
⑴未然形+ば=仮定条件(もし~ば)
⑵已然形+ば=原因理由(~ので)偶然条件(~すると)恒常条件(~すると)
の二種類があります。この場合「べけれ」は「べし」という助動詞の已然形なので、⑴の用法が反映されている㋓は消えます。また、㋔の「行かなければならないと」の「と」はそもそも「ば」の用法にはないので消え、残りは文末が「ので」となっている㋐㋑㋒になります。
つまり、文法的要素で選択肢を絞ったということです。
また、先にも触れたように傍線部には打消しの助動詞「ず」があるので㋐も消えます。これも文法的要素です。となると、答えは㋑か㋒になるわけですが、㋑はそもそも傍線部の「まかる」つまり「退出する・出向く・行きます(行くの丁寧)」などの訳が反映されていないので不正確な訳と判断でき、結果的に正解は㋒となるわけです(ちなみに「さらず」の「さら」は「さる」であり漢字で書くと「避る」つまり「避ける」という意味です。知らなかった人は重要単語なので覚えておきましょう)。
以上のように解釈問題は文法的要素が大いに関わっています。文法的要素は言わば、文の「枠」、つまり骨格であり、その上に動詞や形容詞、名詞などの実質的意味がある語がついているのです。だから解釈問題では、まずは文法的要素で選択肢を絞る!というのが効率的なのです。
いかがでしたか。
この記事では古文問題での解釈問題をいかに解くかということを説明してきました。もちろん、ここで触れたことは古文読解法のごく一部にすぎませんし、すべての解釈にかかわる問題でこのやりかたが有効とは限りません。ですが、覚えた知識をどう生かすかはテクニックが必要だということはわかっていただけたかと思います。そのテクニックを駆使することで入試古文は必ず得点源となります。
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駿台シンガポール校M.K