若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

ヨーロッパ退屈日記 (伊丹十三にはまる)

2005年07月02日 | 読んでる十四代目
ヨーロッパ退屈日記

新潮社

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最近、ハマってるのが「伊丹十三」。

きっかけは伊丹監督作品「スーパーの女」を最近、観てから。それ以来、伊丹十三ってどんな人だっけ?と気になってた(伊丹映画「お葬式」と「マルサの女」は観たことがあるケド…)。すると書店の文庫新刊コーナーにエッセイがあるのを発見。「ヨーロッパ退屈日記」と「女たちよ!」の2冊を早速購入。おどろいた!おもしろかった!

伊丹十三は僕の親父と同じ生まれ年。上記のエッセイは彼が30代に書かれたものだそうで、親父の青春時代の世相ってこんなんだったのか~、という面白さ。例えば、スパゲッティ(パスタとは言わないんだな)の正しい食べ方について。『スパゲッティとソースを混ぜあわせたらフォークでスパゲッティの一部分を押しのけて、皿の一隅に、タバコの箱くらいの小さなスペースを作り、これをスパゲッティを巻く専用の場所に指定する』。そうして右手に持ったフォークで、くるくると巻いて食べるのが正しいのだ、と。

万事この調子で面白い。湯で加減はアルデンテが本物で、『スパゲティー・ナポリタンなんてものは、いためうどんで、あんなものをイタリアンと言う人は、スーヴェニア・ショップで絹のキモノ・ドレスを買ってハイヒールで街を歩くようなもの』と書く。今でこそ普通に使われるアルデンテという言葉でも、当時の人は、それ何だ?と思ったろうねえ…と笑いがこみ上げる。

一方で僕の同年代の人間による文章なんだと思って読んでみても、際立つ表現力。単に「スタイル」として物事を断じるのではなく、「生き方」として本気で書いてる(ハズ)…なのに洒脱な文章。参りました。いきなり僕の中で、エッセイスト首位!です。俳優、デザイナー、エッセイスト、雑誌編集に映画監督と、才人と呼ぶにふさわしい人だけど'97年12月に自殺した。

伊丹の妻、宮本信子さんはドラマの撮影で巨峰ワインに来たことがあって、お会いしたときの感じがもの凄く素敵な方でした。我々を始め、スタッフの方にも優しい気遣いを見せる様子に、真に実力のある人間の謙虚さを見たように思います。

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4 コメント

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挑戦してみます (十四代目)
2005-09-14 22:34:51
スウリさん、お元気ですか?

僕もレスが遅くて…もうしわけない。

短編って作家の力量がモロに出るように思います。

池澤夏樹も村上春樹も短編が大好きです。

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おすすめの宮城谷本 (スウリ)
2005-08-25 01:10:13
おそおそのレスになってすみません。

さて、宮城谷さんのおすすめ本ですが、

何を読んでもそんなにハズレはないと言う感じでしょうか。

漢字好きの私としては短編の「沈黙の王」が好きです。大分初期の方の作品になりますが。

短編を読んで肌が合いそうだったら、長編をどうぞ読んでみて下さい☆
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おすすめありますか? (十四代目)
2005-07-04 17:47:56
僕は宮城谷昌光作品は未体験なんです。宮城モノというと「中国古代王朝譚」というイメージ。その昔、吉川英治の「三国志」に挫折してから歴史モノって読まなくなってたんですよね。



司馬遼太郎だって、ようやく読み始めたのは浪人時代でした。でも当時、一番はまってたのは、栗本薫「グインサーガ」シリーズ。おかげでちっとも勉強してません(笑)。



宮城作品のオススメはなんでしょう?読んでみようかな。

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文庫化!! (スウリ)
2005-07-04 15:47:30
こんにちは♪ヨーロッパ退屈日記、どうしても欲しくて探し回って古本屋でゲットしたのに・・・

文庫化、されていたのですね。

有益な情報ありがとうございます☆



以前、伊丹さんの翻訳本も読んだことがありますが、独特の香りがして好きでした。

しかし、14代目は読書家ですね・・・

わたしも司馬遼太郎、そろそろ挑戦しようかな。(宮城谷昌光好きなんですが、やはり司馬さんは読んでおかないと・・・)

ではでは、また読書日記?楽しみにしてます。
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