若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

韓国の友人

2006年12月19日 | 近ごろの十四代目
17日から韓国の親友、パク・ジョンヒョプ君がやって来ました。ヒョプとは6月に会って以来、半年振りの再会です。

彼は釜山から車で40分ほどの所にあるチャンウォン(昌原)市で伝統的な韓国酒の醸造会社を経営しています。彼が醸す酒は、「眞露」のような韓国焼酎ではなく、「百歳酒」で知られるような伝統的な醸造酒(薬酒)です。

ヒョプとは4年程前に出会いました。その頃彼は釜山の大手焼酎メーカーに勤める技術者でしたが、独立して薬酒を醸造したいという夢を持っていました。同じ醸造家として、また夢を持つ青年として共感し意気投合した僕らは家族ぐるみの付き合いをしています。そんなヒョプは昨年ついに夢を叶え、昌原市の帰山洞という海辺で刺身専門レストランを併設した「マルグンネイル」という会社を興したのでした(社名は「晴れた明日」という意味だそうです)。

さて、今回の来日には昌原市の市役所職員の李さんが同行してきました。実は昌原市では来年度に大きな「農業体験施設」を造るという話が上がってるそうで、巨峰ワインなどその参考となる施設を僕に案内して欲しいという事なのです。

2泊3日の日程で、巨峰ワインを始め、「道の駅」やJAが経営する「耳納の里」、苺狩りとスイーツ狩りを経営する秦君の「明果園」、浮羽果樹の村を経営する末次君の「やまんどん」、水俣市の「福田農場」などを案内してまわりました。宿泊は我が家なので、夜はヒョプが醸した酒を呑みながらの経営談義です。

どうやら昌原市の「農業体験施設」の中にヒョプの会社を移設する計画があるようです。アドバイスを求められましたが、難しい問題です。互いのつたない英語の会話でどこまで話が伝わるか。

李さんは今の昌原市や韓国に、工業的な発展だけではなく農業の大切さを知ってもらいたいという情熱を持っています。市が力を入れている計画でしょうが、そのリスクもあるでしょう。大きな経営決断に必要なものは何か。それは分析と展望と理念ではないか。冷めた頭と、熱い心と、静かな眼をもって判断すべきだ、と話し合いました。身振り手振りに絵まで描きながら熱く意見を交わしあいました。

火曜日に福岡のフェリーターミナルまで二人を送りました。
別れ際に李さんが言いました。

「韓国では人に何かをするときは見返りかお金を求めます。しかし林田さんは見返りなしに、自分の時間とお金を使って私達に沢山の事をしてくれました。韓国ではこんな事はありえません。どうしてですか?」

「そんなに大層なことではないよ(笑)。だって僕とヒョプはチング(友達)なんだから」

「ありがとうございます、とても嬉しかったです。国と文化が違っていても、同じ理想を語り合えるあなたたちの関係がとても羨ましいです」

「李さん、僕らももう友達でしょ。またいつでも我が家に来てくださいね。僕も昌原市に行ったら李さんの家に遊びに行きますから泊めて下さいね。あ、これじゃ見返りを求めてる事になるかな(笑)」

そうして大笑いしながら、僕らはいつまでも手を振り合って別れました。また一人、韓国の友人が出来ました。

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