オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「チーム・バチスタの栄光(上下)」

2007年12月24日 23時58分55秒 | ほぼ、文庫本
チーム・バチスタの栄光(上下)/海堂尊/宝島社文庫

前から書店に行くたびに、タイトルに惹かれて気になって仕方なかった作品。よっぽど図書館で借りようかと思いましたが、なにしろ読書に割く時間は通勤時間しかないもので、ハードカバーは重いしかさばるし、無理。てことで、文庫化を待つことにしていた作品。

で、ここから果てしなく書いてたんですが、ええ、携帯でコツコツとね!ですが、うっかり操作ミスしちまって、ざばーっと消えました。くっそー!
「し」をうつつもりがリセットのキーを触っていた(すぐ上のキーだし)ようで、怒涛の速さでカカっと2回…あえなく消え去りました。
また後日、PCからうちますよ…とほほ、涙もでやしねえ!畜生っ!

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で、後日(笑)。

ふらりと立ち寄った時に、いわゆる「平積み」になっている文庫本上下巻を発見、すぐさまセットで(1冊ずつてことね)お買い上げ、レジに向かいます。
すると、レジのお姉ちゃんが言います。
「この上巻、サイン本がありますから交換しますね。」
ええ、ええ、勿論交換してもらいましたとも!喜んで!いやあ、こんなこともあるのねー。

てな曰く付きで入手して、読みました。通勤時間を割いて。

何がどうって、特筆すべきは「白鳥」(しらとり、と読む。鳥の白鳥ではなく人名)のキャラクターの凄さ。もう「濃い」とか「キャラが立ってる」とかの次元じゃありません。本書の中でも、こいつ(うわこいつ呼ばわり!)が出てきてからというもの、関係者各位、漏れなく引っ掻き回され暴き立てられもみくちゃにされ、混乱が大きな渦を為してそれはもう読者のおいらをも巻き込みます。さらに、これだけしといてこの男、主人公ではありません。なんてことー!?いいの、そんなに目立っちゃっても!?
何しろ、全部!もう見事に全部が理詰めで話が進む。ロジカルモンスターだったっけな、主人公が白鳥を評してそう言いますが、ほんとに、論理の怪物。ここまで論理的に話をする人っているのかな。いるかもしれないな。おいらには絶対無理だけど!(いや誰も求めてないから)
ミステリーというカテゴリーに入ってますから(なんたって「このミステリーがすごい」に選ばれてますからね)、事件があって、犯人がいます。事件の真相を暴き、犯人を捜す。まあ平たく言えばそういう話です。
なんですが!
それだけの話(!)を、理詰めで展開するとこうも面白いのか、と思いました。あと事件てのが手術の最中の死、いわゆる「術中死」という特異な事件だから、もあるだろうけど。
半ば強引だと思える理論の展開も、白鳥というキャラクターならアリかも…と思える。彼だから許される、というよりも、誰も許してなくてもお構いなしに彼は進む。そして、何が凄いって、結局、事の真相は白鳥が理論立てた通りで、事件の「その後」のおまけですらも、彼の論理に基づいて展開するようになってて、ある意味こわい。
そんな、何もかも論理的に展開していってもいいの?人間てもっとイイ加減なもんじゃないの?そんな、論理的にすぱすぱすぱっと割り切れるようなもんなの?
…と思うけれども、これはきっと白鳥に言わせれば、そうならないようなら、それは論理的というにはあまりにもお粗末だ、てなもんなんでしょう。白鳥みたいなヤツ(!)、おいらの周りに一人欲しいけど、百歩譲って、友達の友達、くらいの距離ならいいな。(それって他人てことじゃあ…)

タイトルから分かるように、バチスタ手術が事件の舞台です。バチスタって?とか思う人にはつらいかも。医療用語がばんばん出てきますし、まあそれを知らなくても話は読めますが、映像として浮かばないとつらいかも。いやまあ、浮かばなくても話の本筋には関係なさそうな気もしますが…って、結局どっちなんだ!?
おいらの予備知識としては、えー、んー、…、
…あっ、おいら「医龍」も「医龍2」も見ましたよ!他にも医者ドラマは結構見てます。あと、小学生の頃から「ブラック・ジャック」は愛読してました!(爆笑)
ええ、そんなもんですよ。そんな程度で充分ですよ。なんか聞いたことあるな、程度で。
「医龍2」で思い出した。
本書の上巻、話でいえば起承転結の「承」くらいに入ったところでこんなくだりがあります。
「手術の場は、掛け算に似ている。他の人たちがどれほど大きい数字でも、ゼロが一人いれば全部ゼロだ。マイナスが一人いれば、数値が大きいほど悪い。かと思うと、マイナスが二人いると、今度は大きなプラスに変わることもある。」
これね、「医龍2」で阿部サダヲ演じる麻酔医の荒瀬が、同じようなこと言ってました。
バチスタ、ですでに重なってるだけに、偶然かなあ、どっちが先かなあ、などとふと思いました。いや別にいいんだけどさ。

いやー。
とにかく、読んだー!という充実感はあります。
映画化も決定してて、来年2月に公開だそうです。
文庫の帯を見る限り、おそらくこの強烈な「白鳥」は、阿部寛が演じるのではなかろうかと思われます。(左下に映ってる黒い人影が阿部ちゃんですね)
…なんてナイスな配役だ!
あとがきにもありましたもん、白鳥のキャラクターを評して
「阿部寛が演じた『トリック』の上田教授をさらに苛烈にしたようなキャラクター」
って!わはははは!まんまやん!ていうか、そこから作ったんちゃうん!?
阿部寛がどんなふうに理詰めで畳み掛けるのか、すっごい惹かれるー!!その為だけに映画見ようかな。筋立てがどんな風に変わろうとも(たかだか2時間とか2時間半とかで、この話を映像にするのは無理にも程があるってもんで)、それでどんなにチャチな話になろうとも(…そこはちょっとイヤかも)。

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