![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/67/a738c3eeb72227dac29557876c8275dc.jpg)
重力ピエロ/伊坂幸太郎/新潮文庫
伊坂幸太郎という人の作品が、どのジャンルに分類されるのか。
という質問は、誰に(或いはどこに)すればいいんだろう。
デビュー作の「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞、とあるから、ミステリーに入るのだろう。
でもその後、本作で「ミステリファン以外の読者からも喝采をもって迎えられ」とあるから、少なくとも本作(これね、重力ピエロ)はミステリーではないらしい。
食わず嫌いというか読まず嫌いというか、おいらはミステリーというジャンルに入る本、読まない。言い切りますここは。
2時間ドラマになってそうな話やん?いやそれはサスペンスだ、とか突っ込まないで。おいらにとっちゃ一緒なんだも…
シンプルに、おいらの好みじゃないんだも…
で、伊坂幸太郎。
確かに彼の話は、入り組んでいて、バラバラな話がいつの間にか同じ方向を向き始めて、最後の最後で一つになる、
その過程で、一つになるための根拠が述べられたり、繋がりを解説してあったり、時間軸を一つにして並走させたり…それがミステリーでは「謎解き」という行為らしいのだが。
おいらにとっちゃ、それもこれも、書かれた小説が終わりを迎える為の「(話の)展開」に過ぎないのだけれど。(つまり謎解きとは思ってない。)
そういう事を前提として、彼の本は、どれもこれも、人間をかなり深く掘り下げた小説、以外に分けられない。
そしてそういう本は、ミステリーだのファンタジーだのコメディだの、というジャンルをとっととすっ飛ばして、
ただ「小説」としてほしい。
って、しまった、こんなに引っ張る予定じゃなかったのに…
この本に出てくるのは、現状、父が癌(進行している)で入院中、母はすでに他界、という兄弟で、弟は父と血が繋がっておらず、その父親は母を強姦した未成年者。
そこに放火と壁の落書き(グラフィティアート)とが関連する事件が続き、
何の気なしにその事件を(初めは暇つぶしの探偵ごっこ、のはずだった)解明する、それこそ謎解きだ、をするうちに事件の本筋にがっつり巻き込まれ、
しまいには渦の中心になってしまってどうにもこうにも抜け出せなくなる。
その結果、弟の出生に纏わる圧倒的な真実が明らかに――――
と、ここまでなら間違いなくミステリーなのだが、
圧巻なのはここからだ。
放火と落書きと弟の出生、の真相が明らかになり、とてつもなく大きな真実として存在したとき、彼等が辿り着く結末が
「おまえは許されないことをやった。ただ、俺たちは許すんだよ」
もう、それまでなんか冴えなかったお兄ちゃん(酷っ)ブラボー!ハラショー!!マーベラス!!!
さらには、その圧倒的な真実を、事件の真相を、皆まで聞かずに(言わせずに)悟った父が言う
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
遺伝子がなんだ、DNAがどうした、染色体?二重螺旋?知ったことかよ!!お父さん万歳!だ。(落ち着けオレ)
特に、そのセリフを言うに至るまでの、父の病室での弟と兄と、父との対峙がすごい。心臓鷲掴みどころか、脳みそ亀甲縛り(こらこらこらこら!)だ。…どういう例えだよ…
ミステリーの何がどうって、どんなに複雑な事件でも、どんなに難解な謎解きでも、
解決させて、つまりは犯人が誰か、を解いて、事件の真相が細々と明らかになって、
…終わるところ。
終わるんだよ、信じらんない。
たかが事件一つが解決したからって何が終わるんだよ、終わらねえよ、むしろそこからが始まりだよ、そっちが知りたいんだよコノヤロー!
とか思うのはいけないことなのか?
そういうわけだからミステリーは読まないのだよ。
だけど、本作は、そこが、いい。
そうか、だからやっぱり、この話はミステリーじゃないんだ。
伊坂幸太郎という人の作品が、どのジャンルに分類されるのか。
という質問は、誰に(或いはどこに)すればいいんだろう。
デビュー作の「オーデュボンの祈り」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞、とあるから、ミステリーに入るのだろう。
でもその後、本作で「ミステリファン以外の読者からも喝采をもって迎えられ」とあるから、少なくとも本作(これね、重力ピエロ)はミステリーではないらしい。
食わず嫌いというか読まず嫌いというか、おいらはミステリーというジャンルに入る本、読まない。言い切りますここは。
2時間ドラマになってそうな話やん?いやそれはサスペンスだ、とか突っ込まないで。おいらにとっちゃ一緒なんだも…
シンプルに、おいらの好みじゃないんだも…
で、伊坂幸太郎。
確かに彼の話は、入り組んでいて、バラバラな話がいつの間にか同じ方向を向き始めて、最後の最後で一つになる、
その過程で、一つになるための根拠が述べられたり、繋がりを解説してあったり、時間軸を一つにして並走させたり…それがミステリーでは「謎解き」という行為らしいのだが。
おいらにとっちゃ、それもこれも、書かれた小説が終わりを迎える為の「(話の)展開」に過ぎないのだけれど。(つまり謎解きとは思ってない。)
そういう事を前提として、彼の本は、どれもこれも、人間をかなり深く掘り下げた小説、以外に分けられない。
そしてそういう本は、ミステリーだのファンタジーだのコメディだの、というジャンルをとっととすっ飛ばして、
ただ「小説」としてほしい。
って、しまった、こんなに引っ張る予定じゃなかったのに…
この本に出てくるのは、現状、父が癌(進行している)で入院中、母はすでに他界、という兄弟で、弟は父と血が繋がっておらず、その父親は母を強姦した未成年者。
そこに放火と壁の落書き(グラフィティアート)とが関連する事件が続き、
何の気なしにその事件を(初めは暇つぶしの探偵ごっこ、のはずだった)解明する、それこそ謎解きだ、をするうちに事件の本筋にがっつり巻き込まれ、
しまいには渦の中心になってしまってどうにもこうにも抜け出せなくなる。
その結果、弟の出生に纏わる圧倒的な真実が明らかに――――
と、ここまでなら間違いなくミステリーなのだが、
圧巻なのはここからだ。
放火と落書きと弟の出生、の真相が明らかになり、とてつもなく大きな真実として存在したとき、彼等が辿り着く結末が
「おまえは許されないことをやった。ただ、俺たちは許すんだよ」
もう、それまでなんか冴えなかったお兄ちゃん(酷っ)ブラボー!ハラショー!!マーベラス!!!
さらには、その圧倒的な真実を、事件の真相を、皆まで聞かずに(言わせずに)悟った父が言う
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
遺伝子がなんだ、DNAがどうした、染色体?二重螺旋?知ったことかよ!!お父さん万歳!だ。(落ち着けオレ)
特に、そのセリフを言うに至るまでの、父の病室での弟と兄と、父との対峙がすごい。心臓鷲掴みどころか、脳みそ亀甲縛り(こらこらこらこら!)だ。…どういう例えだよ…
ミステリーの何がどうって、どんなに複雑な事件でも、どんなに難解な謎解きでも、
解決させて、つまりは犯人が誰か、を解いて、事件の真相が細々と明らかになって、
…終わるところ。
終わるんだよ、信じらんない。
たかが事件一つが解決したからって何が終わるんだよ、終わらねえよ、むしろそこからが始まりだよ、そっちが知りたいんだよコノヤロー!
とか思うのはいけないことなのか?
そういうわけだからミステリーは読まないのだよ。
だけど、本作は、そこが、いい。
そうか、だからやっぱり、この話はミステリーじゃないんだ。