オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「東京バンドワゴン」

2008年05月30日 20時59分54秒 | ほぼ、文庫本 2008
東京バンドワゴン/小路幸也/集英社文庫

まず、この「東京バンドワゴン」て何か、というと、古本屋の名前、ええ、屋号ってやつですね、なんですよ。
創業が明治ナン年だってんですから、まあー、その当時「バンド」だの「ワゴン」だのって言葉がどこから来たのか、名付けた人(おそらくは初代店主かと思われ)は相当なセンスの持ち主ですな。
いや本屋ですから、文献だけは豊富だったのか。てことは、いかなる資料からとってつけたのか、興味深いところです。

で、この古本屋には、当代店主(三代目)を筆頭に、その息子(妻は他界)、孫3人と孫の嫁1人、ひ孫が2人、猫4匹、というバラエティに富んだ面子が揃っています。
彼らの日常に起こる非日常的な様々な事を追っていく連作集、といった本です。

案内役が、当代店主の奥様。もちろん故人です。体はとうにありませんが、いわゆる幽霊とか霊魂とか、そういうものになって、この東京バンドワゴンの傍をやわやわと浮遊しながら一同を慈愛に満ちた目で見守ってくれている、間違いなくかつてはこの家のゴッドマザーであった人。
人に接触するとその空間から押し出される、という困った性質があるものの、それ以外は自由に行き来できるために、視点がころころと変わります。
何かに似ているなー、と思ったら、ドラマなどで複数のカメラを使ってシーンを変えたり同時進行で見せたりする、あれですよあれ。さしずめ彼女はカメラ兼モニター画面てとこですか。

ああ、いけねえ、こんなにだらだら書いてるし。

ともかく、この本には、そういう「東京バンドワゴン」での日常(の中の非日常)を、季節を追いながら綴ったもの。
そこにあるものは「LOVEだねぇ」。

そんな本を、まさか表紙買い(またはタイトル買い)できるとは思わなかった。過去の成績を見ても、…今のイチローの打率よりも全然低い。大抵失敗する。(で、ブックオ@に…ごにょごにょ…)
これ、本屋で時間をつぶしていた時に、本のほうから呼ばれたんだよ。
どう?買わない?損はさせないよーっ
みたいなね。結構積極的に呼ばれたね。
どうやら続刊があるらしいが、文庫化はまだまだ先のようで。…ちぇ。
(しまった、感想らしいものを書いてないや。…ま、いっか。)

「風味絶佳」

2008年05月27日 14時23分01秒 | ほぼ、文庫本 2008
風味絶佳/山田詠美/文春文庫

6篇の短編からなる一冊。
分量としては、このくらいの話が細切れに読むには丁度いい感じ。
それぞれに出てくる男の人の職業が、ガテン系というのにちょっと惹かれる。
確かこの中の「風味絶佳」が映画化されたんだよな、シュガーアンドスパイスだっけな。
地上波でやってて録画したけど、見てないなあ。
で、見ないままに原作を読んで、主役の男の子がおそらく柳楽優弥(微妙に字が違っても見逃してちょ)だろうなと思ってみた。いやそれ以外ないだろう。
てことは、なに、相手役がエリカ様(て何様だー)かよ。
…ぬー。そ、それは、…むー。
それより、映画の予告やら宣伝にはその二人しか出てこなかった、ような気がするけど、グランマは?誰がやったの?…え、出てないとか?
いやー、これ映画化するんだったらグランマがキモでしょうよー。
てか、そういうことは映画見てから言いましょうって話やね。

で、本編の話。
6篇ある中で、なんとなくわかるなあ、とか腑に落ちたものと、え、よく分からんままに終わってた、ものとがあった。
時間をおいて、もっかい読もうかな。まあね、大体が、詠美姐さんの本は何回でも読みたくなるんだけども。
1回で全部が全部しっくりくるようなのではない。
中途半端だったり、なんかこう、なんかあるんだけど、それが何か分からない、その空気感とか余韻とか、そういう印象だけ残しておいて、またいつか、読む。

現時点(一回だけ読んだ時点)で、「海の庭」に出てくる引っ越し屋の彼が好みかも。いや、だからなんとなくね。(しかも好みとか言っといて、名前覚えてないし。)
唯一、名前を覚えた男性は「春眠」に出てきた火葬場で働くお父さん・梅太郎。
なんで覚えたかというと、かなり前に、いくえみ綾の漫画(ベイビー・ブルー)で犬のぬいぐるみに梅太郎って名前をつけてたなあ、てことを思い出したから(そんな理由…)。ああそうだ、この「春眠」は好きな話だと思ったんだった。
もちろん「風味絶佳」に出てくるグランマ・不二子は別格!彼女はもはや 崇 拝 の 域 に達しているんだから…!そういえばここんところ、詠美姐さんの書く男性像はもちろんだけど、いやそれよりも妙齢の女性像にものっそ惹かれるんだよ。
え。これって、何?おいらの年齢的な問題?(むきー)

「無事、これ名馬」

2008年05月21日 16時47分33秒 | ほぼ、文庫本 2008
無事、これ名馬/宇江佐真理/新潮文庫

時代劇を見るように読む、みたいな時代もの。
江戸は町火消しの組頭のところに、齢7つの武家の坊ちゃまが
「男の道をお教えください」と通うようになって…

この坊ちゃまが、お武家の跡取りにしては大層頼りない。
おねしょはする、泣き虫、下の妹には「たろちゃん」と呼ばれ、長兄の貫禄なんてどこへやら。
…でもかわいらしい!いじらしい!
彼がこれからどうなるのか(どうもなってほしくはないけど)、心配なような楽しみなような。

そう思って読み進んでいたら、後半になってどうも様子が変わってきた。
もちろんたろちゃんはそこここで顔をだし、話にも食い込んできてはいるんだけど、彼の知らないところでの大人達の話、も結構出てくる。
ていうか、はじめからそれが本筋だったのか?

で、読み終わってみたら、なんだか、組頭が主人公の話だったのかも、これ。
みたいな感じ。
なんかちょっと、だまし絵のような、いや違うんだけど、絶妙に話のアングルが変わってくるところが上手いなー、読ませるなー、と思った(っておいら何者だい)。
特に後半になって、お職(火消しの中でも組頭に次ぐ、いわば若頭、みたいな人)が殉職するあたりから話が急展開。あれよあれよ、と様子が変わる。

でも、なんだな、人の生き様というものは、思いもよらないところに思いもよらない仕掛けがあったり、ほんとに神様ってのがいたずらしてるに違いない、そう思わないとやってられない事も、一度や二度じゃないくらい、ある。
あるんだけど、それでもやっぱり、生きていくもんなんだよな。

そういえば、頭が思い描いた理想の最期、いわく
朝湯に浸かり、朝飯を食い、食後の茶を飲んだ後にばったり逝きたいものだ。
という、まさにそういう最期を迎えた人が、おいらのまわりに一人、思い当たる。
今月末に一周忌を迎えるNさんがそう。
おいらのばあちゃんとそちらのお母さんが従姉妹だったかなんだか、そういう繋がりの、血縁があるといえばあるんだけどないといえばない、でも昔ッから何かというとお世話になっていたおじさん。
そう思うと、この話の組頭、ちょっとNさんを彷彿とさせるかも。

「図書館戦争」

2008年05月18日 01時35分35秒 | テレビがお守り
アニメの方の「図書館戦争」を、ようやく3本まで見ました。
ちっ、小牧図書正は石田彰さんの声だったぜ。石田さん、嫌いではもちろんないんだけど、どうしてもこう、良い人の裏を深読みしてしまうからなあ…、あ、まあ、小牧図書正はそんな感じもありっちゃアリだけど。うーん、八戒(@最遊記)(そして石田さんで彼を出すあたり、おいらって…以下自粛)か…

堂上図書正が思うよりチビじゃなくて、ちょっと面白くない。もっとこう、端的におチビさんの方が、話としては面白いのに(←)。
柴崎が落ち着き過ぎてて、これもまた面白くない。彼女はもうちょっとこう、下町のおばちゃん的なチャッカリ感(え)があった方が。
ていうか、手塚!手塚はいいのか、これで?いやおいらの中じゃどっちかっていうと、見た目では小牧図書正派推奨だったのに。あの短髪デコ丸出しの、角刈りをちょいのばしました髪型は、え、違うだろう。名前でそのまんまだけども、手塚部長(@テニスの王子様)を思ってたのに…(それも違うだろう!というツッコミはスルーの方向で)。

で、肝心の中身の話をしましょう。(いやおいらにとっては見た目も肝心なんだよ)

まず、話の展開、早っ。
これはアレですか。
アニメで「図書館戦争」シリーズ全体を網羅しようと、そういうハラですか。
しかも1回30分ですよ。てことは正味20分くらいしかないんですよ。
もちろん、小さいエピソードはがんがん削除する(涙)としても、放送3回で、「図書館戦争」の山場に突入なんて、ありえない。
そういえば初回から、とばすなー、とは思ってたんだよ。
おいら本読んでたからなんとかついていけたけど、これ、まったくアニメだけ見てる人には、ものっそイキナリな話が多いだろうな。
いやいや設定とか話そのもの、ではなく、たとえば笠原郁と堂上図書正との間なんで、あんな、あんな、あんな3回で伝わるわけがない!(ぜーはー)
柴崎にしたってそうだ。すわ、良化委員会が突入してきたやばいやばい逃げろ逃げろ、状態で、一人、そうまったくのド新人の独断と偏見を館内放送する、その見上げた根性とか(褒めてる褒めてる)、それをまた実行部隊であるところの郁が真に受けて持ち場を勝手に変更する、それを当然パートナーである手塚は止める、それを振り切って言う
「あたしは柴崎って女を知ってる!この状況で柴崎が言うんだから間違いない!」
て言葉の重さ、熱さは絶対伝わってない。伝わってたまるかコンチクショー!きぃ!

まずもって、なんでこの放送回数でシリーズ全部を網羅、なんてことをしちゃったんだろう。(そういう方向だと決め付けてるあたり…いや多分そうだろう…)
それはほんとに、無理だって。
そんなことしたら、話のスジだけ追った、あらすじ紹介になっちゃうのに。
原作を読めば分かる、この話は、こんなぺらぺらじゃないのに。
あまりといえばあまりの仕打ち。よよよ。

…と、ほんとにおいらの中で評価がた落ち、ていうか、最初に期待してた分、落ち込み方も容赦ないんですが、
それでも最後まで録画します。
え、だって、「図書館戦争」シリーズ、全部知りたいんだもん。
あらすじで結構。
できるだけシリーズの順番通りに読もうと思ってるんだけど、図書館に問い合わせたら予約殺到。2冊目なんてアータ、6人待ちですってよ…1人3週間として…18週間後っていつだよ!!?10月かよ!!??…遠っ!
そしたら先にあらすじだけでも押さえておこうと思ってさ。
そうこうするうちに文庫になるかもしんないじゃーん(本命はこっちさ!)。

てなわけで、見るたびに残念度が高まることは分かりつつ、最後まで追いかけますとも。