オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「ぼんくら」

2007年10月23日 23時22分58秒 | ほぼ、文庫本
ぼんくら/宮部みゆき/講談社

前半の半分(全体の四分の一)くらいは短編。宮部みゆき時代劇ワールド全開、の
ちゃかちゃかっと読ませる逸品揃い。
で、残り四分の三を使って「長い影」という長編になっていく。
てことで、前の短編はこの長編への伏線、ネタフリ。
時代物で、下町物で、捕物で、登場人物それぞれにキャラがあって、好き
なんだけど、ちょっと勝手が違う。
宮部みゆきの絶品時代劇、だと思って読むと、いやいやどうして、
たっぷり謎解きや人間監察や、なんやかんやがてんこもりの推理物。
いつもの短編のつもりで読んで、どんどん、すっとばしてしまう。
だってほら、宮部みゆきの時代劇短編モノって、
テンポよくカンカーン(擬音が変だな)、と読めるのがいいでしょ。
というわけで、前に読んだ時もそうだけど、同じ失敗をまた繰り返し、
何回か戻って読んでましたよ、とほほ。
でもやはり、読み応え度は抜群。
話の展開上、諸手を上げて万々歳、みたいな終わり方ではないけれど
それぞれにまあ、どうにかこうにか、落ち着くところに落ち着いて
腑に落ちないところもありつつ、それでもなんとか
前を向いて生きていくんだな、みたいな光がうっすら差している
みたいな終わり。その切なさがまた、いいよな。

構成上、ドラマにはしにくいだろうけど
もし、するなら、主人公の井筒平四郎(定町回り・臨時回り)は
かの「いねむり紋蔵」を好演した、舘ひろしでお願いしたく。是非。

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