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ポー川のひかり

2009-08-11 17:46:15 | Weblog
原題名「百本の釘」、岩波ホールで見た。
物語はイタリアのボローニャ大学の歴史図書館に、太い釘で打ちぬかれた夥しいほどの古書の場面から始まる。この大学の若い哲学教授が、「これまで私には本だけだった、でも本より友人と飲むコーヒーの方がいい」と書物を否定することで、
知識より心の交わりを選択した故の行為だった。そして彼は現代文明を逃れて、ポー川を遡り、廃屋で生活を始める。そして周りに住む貧しい村人達にその風貌からキリストさんと呼ばれ、彼らとの素朴な交流が始まるのだった。そして彼を追う権力者達に捕らわれ、最後は獄中へと去っていく。それはあたかもキリストがユダの裏切りで捕らわれて十字架に繋がれる場面と重なる。釘はキリストの磔刑を表すし、場面の中で、村人が持ってきた水を「キリストさん、この水をぶどう酒に変えてくれ」と言う場面とか、地球と言う素晴らしい自然を、人間が愚かにも破壊してしまう例えとして、放蕩息子の帰還の話を入れたりと、新約聖書を熟知していないと解らない場面も多いが、ポー川の一日の変わり行く風景が素晴らしく美しく、それだけ見ているだけでも心洗われる映画だ。ラストシーンで村の少年が「キリストさんが土手を歩いていたのを見た」と言うのだが、キリストさんは二度とこの村へは現れなかったが、これは復活したキリストを表現しているのだろうか。

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