航空無線ワッチは航空機がエンルート上の高高度にいる時は直接波で信号がとても強力に入感します。ホイップアンテナでも問題なく受信できるのですが低高度の空港周辺や空港までの距離があるときの地上側通信が聞こえ難くなります。
電波の受信は一にアンテナ、二にもアンテナ、三に高さ、四に受信設備。。。条件の悪い時ほどアンテナの性能がモノを言います。エアバンダー用受信アンテナの定番は破れ傘のようなスタイルのディスコーン。。。これは沢山の周波数の送受信を広い周波数帯で行う為に航空業務局が採用するアンテナです。ところが無指向性・無調整の便利さと引き換えに利得(ゲイン)はゼロです。
航空無線用の広帯域で指向性を持ったゲインのあるアンテナでは魚の骨の様なログペリオディックアンテナが有名です。主に軍用で用いられるのは発信源が探知され難い指向性が都合が良いことに他なりません。
引越し前はマンションの高さに助けられ遠くの信号まで聞こえていたのですが戸建てでは高さを失いホイップアンテナでは羽田空港の地上局が聞こえなくなりました。。。。
エアバンド用の120Mhz帯はアマチュア無線の144Mhz帯に近く代用されてるエアバンダーも多いかも知れません。当方の144Mhz 3エレデルタループでは全く効果が上がらずエアバンド帯に共振した専用のアンテナを作る必要がありました。市販品では八木アンテナも一時販売されていたようです。
ビームアンテナと言っても種類は多数あり比較的製作が容易なタイプでは八木アンテナ系やループ系のデルタループ、スイスクワッド、キュービカルクワッド、ヘンテナ等があります。今回は占有体積の小さい変形2エレ八木を試してみました。
Moxon型とはアマチュア無線家Moxon氏が考案した2エレ八木のエレメント先端を直角にベントするアンテナで原型に比べとてもコンパクトになり特に波長の長い短波帯では海外局を中心に人気があります。PCでの設計ソフトも公開されています。
製作
このアンテナで難しいのはエレメントの折り曲げ(ベント)でHF(短波帯)や50Mhzのアンテナのようにワイヤーと支持スプレッダーを使わずアルミパイプで構成する場合難易度の高い加工となります。今回はパイプベンダーを使いいとも簡単に。。。。
製作パラメーターについては設計ソフトも公開されていますし材料条件も異なるので製作パラメーター等は参考程度とされて下さい。アルミパイプでは設計値よりかなり下側の周波数にシフトしました。
全体をスクエアに接続して強度を高めます。支持ブームは占有面積の縮小の為にエレメントと平行に取り付けます。通常八木アンテナではエレメント中央に直角に支持ブームを取り付けます。これはエレメント中央が電位ゼロという特性を利用したものでエレメント先端に近い今回のような支持法は一般的ではありません。したがって金属パイプを使用する事ができません。
コーナーベント部は10mmアルミパイプ、垂直部エレメントは7mmで。。。このような異形パイプ併用は計算とおりにいかない原因。。。。。
給電部 エレメント中央で応力が掛かったり雨水の浸入でトラブルの多い箇所。エポキシとシリコンシーラントで処理します。
調整
設計値よりかなり下側にシフトした為垂直エレメントとベント部エレメント先端を切り調整しました。給電側エレメントと反射器側エレメントの水平部間隔は全体の性能に大きな影響を与えますミリ単位での調整が必用です。
結果
120Mhz帯 118~136Mhz全域にわたりVSWR 1.75以下 特定信号を受信しながらの指向性パターンチェックでは前方180度にわたりブロードなパターンでサイド・バックは抑制されて2エレにしては綺麗なパターンとなっています。
ビームアンテナの特徴であるアンテナゲインや指向性パターンの電界強度計測定はこの帯域では電波を送信する事ができないので計測ができません。
実際のエアバンド受信では良い効果が得られました。羽田空港の地上局が144・430デュアルホイップのノイズに埋もれたS1-S3がS7に。。。