HFハイバンドは5月~6月がコンディションのピークだったようでもうヨーロッパも余り聞こえなくなりました。。14Mhzか7Mhzにメインを移そうかと思案していたところ又本末転倒する事に熱中。。。。 暑い時期に熱くzzzz
144Mhzはメインバンドではなく殆ど運用していません。SSB帯では独特の雰囲気でちょっと他バンドと空気が違いますしFM帯域ではちょっと聞くに堪えない有様。。。。。 コンテストとなると状況は一変するのですが。。
興味の薄い周波数帯ではありますが国際宇宙ステーションや衛星通信のダウンリンクに設定されておりかろうじて設備を維持しています。
今回、高高度の気球から微弱電波を受信するために数種アンテナを製作してみました。受信実験では上空が余り見えない位置のホイップで芳しい結果ではなかったので少し凝ったアンテナを作ることに。。。
垂直系高ゲイン(5/8λやコリニアなども)アンテナでは打ち上げ角が低く(これが無線通信ではメリットなのだが)高高度上空からの電波を受信するには適しません。となるとビームアンテナに仰角をつけるのが一番。。。
すでに2エレのHB9CVを作っていますが受信対象の電波は極めて微弱で気球は風に煽られアンテナも動揺するようです。垂直系だけでは多くの微弱な信号を取りこぼす恐れがあるため垂直・水平成分に強いループ系を試してみる事にしました。
ループ系は立体構造となるため使わない時は分解し畳めるように設計。。。実はコレが製作を大変にする事となりました。
3ele デルタループを先に試してみましたが分解機構の部分で接触が甘く安定して動作しません。固定アンテナとしてエレメントをビス止めしてしまえば問題はないのですが収納に邪魔です。
そこで全分解式のキュービカルクワッドを製作する事としました。キュービカルクワッドは今やアマチュアの独壇場で業務無線アンテナとしては採用されません。 八木アンテナと並ぶ代表的ビームアンテナです。その名のとおり立方体の形状のアンテナです。
ループ系の強みは垂直・水平部にもエレメントがあり多様な伝搬経路を辿り偏波面の崩れた電波にとても有効です。特に電離層の反射を用いる短波帯では同数エレメントの八木と比較して頭ひとつ飛び出た性能です。
立方体の形状から受風面積も大きく構造上製作が難しいアンテナのひとつです。
144Mhz帯では2エレの製作例が殆どありません。波長の短さから4-6エレが主流です。。。今回は目的の信号は極めて微弱でSメーターや音声でピークを追いかける事が難しいため敢えてブロードな特性の2エレを選択しました。
1) エレメント&間隔
ループ系では他のワイヤーアンテナと異なり短縮率ではなく延長率を波長に乗じます。製作では諸条件が異なりMMANAシミュレーションのとおりいかないアンテナでもあります。製作例も見当たらない事から設計からすることにしました。給電・スタブがあるエレメントをアルミパイプとし他のエレメントはビニールコードです。
ラジエーター(輻射器)長・・・ 諸説ある中 L=309/λで計算、300でないのは延長率で2144mmで決定しエレメント間隔は0.2λ=410mm この理由は0.2λで2エレでは特性インピーダンス50Ωとなる為でゲインとFBを犠牲にしても失敗の少ない方法。。。。直接給電が可能となりますが念の為ガンママッチを採用し調整幅を大きくとりました。直接給電で問題なければ不用な部分です。
リフレクター(反射器)長はラジエーターの3%増し。。。63mm延長し尚且つ調整スタブ(オリジナル機構)で60mm調整するよう計算・・エレメント延長は30mmで所定長プラスマイナス30mmの調整が効く事になります。
何故リフレクターにスタブのような調整機構が必要なのか・・・・この長さはF/B比に大きく影響するために必要
偏波面について
水平・垂直両偏波に強いキュービカルクワッドですが完全ループではないのでデルタループ等と同じく給電・励震するエレメントの方向の成分が多くなります。垂直偏波を主にしたい為給電エレメントは垂直方向の一辺でこれが水平偏波主の50Mhzとなると給電エレメントは水平部となります。
マッチング回路を用いない(50Ωに特性がなっている≒エレメント間隔が0.2λ付近)場合は垂直部エレメントの中央に同軸を接続します。
2)エレメント保持機構
厄介なのがこの製作です。。分解できるように考慮しながら。。。。
ブームは水道パイプで直角に穴あけがとても難しい。。。L字金具でグラスロッドを十字形に保持します。穴あけに失敗すると曲がった十字形になりVHFではまだ小さい誤差ですがHFになると目があてられないほど酷くなります。他に理由がなければVUHFでは四角い木材が製作が容易になります。
エレメント保持の園芸用グラスロッドも細く穴あけが難しいためアクリルパイプのほうがやり易いでしょう。。要は四角形のエレメントを保持できればなんでも良い。。。。
3)給電部
今回はガンママッチを採用したためエレメントの1辺をアルミパイプとし3mm銅パイプを給電ロッド、エアバリコンは15PFです。。 エアバリコンは入手性が悪く高価なので10PF固定コンデンサーでもOK
4)スタブ
通常二本のロッドのショートには板状のショートバーが用いられますが今回はショートバー(パイプ)内部にバネを入れテンションが掛った状態で調整しそのまま固定できる機構を使いました。この良いところはエレメントを二つ折り収納できることと容易に調整を繰り返せる事。。。但し何かにあたっても動いてしまう欠点があります。調整位置を覚えておくと問題なく通常のショートバーでもなんら問題ありません。ループ長が最良ならなくても良いパーツ。。。
5)調整
キュービカルクワッドは性能をギリギリまで追及するととても厄介な調整が必要です。八木アンテナと同様VSWR最良値が最高ゲインとなりません。。。。VSWRとゲイン、F/B比をガンママッチのショートバーとバリコン、リフレクターのスタブで繰り返し調整し収斂させていきます。今回はγマッチショートバーを暫定位置でバリコンを回しバリコンが半分入った位置となるようショートバーを移動し収斂。
当初VSWR8以上だったのが1.0-1.1程度に落ちました。電界強度計でバック方向の放射が最低となるようスタブを調整しまたガンママッチを調整。。。。。もうあまり大きく動かさなくても大丈夫でした。特性は図のとおり極めて広範囲な良好な特性。Qが低いアンテナ特性なのでしょう。。。電界強度計の簡易的パターン確認ではバック方向に放射が殆どみられません。このサイド・バックのキレがビームアンテナの魅力です。。
対数表示ではありません。人体と建物の影響でパターンが対 象になっていません^^
キュービカルクワッドは突き詰めるととても奥が深いアンテナです。でもあまり細かいを気にしなければ所定長のビニール線だけで直接給電できマッチング回路もスタブ無しでもそこそこ動作します。木工工作で作れるアンテナです。