暁の広場

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ケロシンストーブ レストア

2012-01-02 16:37:10 | Weblog

元旦の午前 レストア用のケロシンストーブ SVEA121が届きました。。。

ケロシン(白灯油)ストーブはガス全盛の今日化石のようなストーブですが先達の山行には定番でした。歴史も古く数十年その姿形を変えない一徹さには脱帽。。おかげで部品の入手も簡単で何十年前のモデルでもレストアすれば蘇ります。

材質は真鍮で鉄のような酸化錆びに悩まされる事もなくその耐久性には目を見張ります。

アメリカ製コールマンのガソリンストーブに席巻されるまではアウトドアの定番ストーブでした。スウェーデン生まれのケロシンストーブは引火点の低いケロシンを燃料に使う為プレヒートが必要でちょっとコツの要るストーブなのです。アメリカ的合理主義には受け入れにくかったのでしょうか。。。

灯油とガソリンの燃料の違いも興味深く、、ヨーロッパ生まれのストーブやランタンはケロシン、アメリカ生まれはガソリンです。 プレヒートの問題もありますが燃料の価格も大きな問題であった筈です。またケロシンはガソリンに比べ引火点温度が低く安全である事も大きなメリットです。

 最初にレストア方針を決めます。 すべての部品を新品もしくは新品同様にレストアする事はこのストーブの歴史を消し去る事に他ならず完全な機能の復活とタンクの輝きは大きな魅力のひとつでもあるのでそれ以外は汚れや錆びを落とす程度にしました。

            

ケースも再塗装したいところですが我慢。。ガムテープの糊が硬化して取れません。。このような時はスクレーバーで粗方落としキッチンペーパーにトルエンを含ませラップししばらく放置します。この方法はODT(封鎖密閉療法)からヒントを得たもので大変効果的です。

水浸圧力気密試験 オーバーホール前提なので水に浸し圧力漏れをチェックします。(ポンプシリンダーは水浸する) どうやら燃フィラーキャップからエア漏れ。。パッキン不良です。古いタンクは接合部ハンダのクラックや剥離も多くこの場合はトーチと大容量はんだごてでハンダ付けする事になります。

          

          

本体タンクはスチールウールたわしにコンパウンドを付けてひたすた磨きます。真鍮の輝きがこのストーブの大きな魅力でもあります。新品タンクでも浅い傷があったり仕上げと言う意味では不完全で展示またはコレクションレベルではさらにコンバウンドの目を段階的に細かくしバフ掛け等しますが今回は自分で使う実用品なのでそこそこに。。。

          

タンクを磨いてる間に他のパーツを洗浄錆び落としをします。洗浄液には沢山種類がありますが酸性液体と界面活性剤の液体サンポールが安価で入手も容易です。

          

 錆びの状態にもよりますが10倍程度に希釈しホットプレートで湯煎し40度程度に液温を上げ化学反応を促進。

          

鉄製五徳のサビからは盛んに気泡が。。。。

           

真鍮製パーツは時々引き上げ処理状態を確認 この処理で落ちない汚れやサビはクレンザーで磨きます

            

 洗浄液から上げたパーツは水洗い後中和の為に焼石灰、重曹溶液又は固形石鹸溶液に浸し水洗い後乾燥させます。粉石けん等は中性洗剤である事が多く中和の用を成しません安い固形石鹸では簡単にPH10を達成できます。

 パッキン類、ポンプカップ等を交換  石綿のジョイントパッキンは用意しましたが未だ使えそうな状態でした。アマゾンで発注翌日に到着 早いけど高い!

           

   

バーナーヘッド部の鉛パッキン 変形する事で気密性を保っているので消耗が激しい。定期交換部品の要。

点火試験

 早速点火試験をしてみました。 プレヒートカップに燃料用アルコールを満たし燃え尽きる寸前でポンピングしケロシンを供給します。当日は風が強く上手く本燃焼に至らず3度ほど同じ作業を繰り返しました。 アルコールのプレヒートにはほんの少し灯油をこぼしておくと火の勢いが増し消えにくく且つ目視しやすい。。。この辺がコツと言われるもので固体それぞれによって異なる難しさでもあり楽しさでもあります。

 プレヒート中開放していた圧力バルブを閉じ数回ポンピングすると点火! あとは火が勢い良くかつ安定するようにポンピングします。

            

 豪快な燃焼音!たまらないね。。。。  ガスやガソリンストーブには無い独特の燃焼臭があります。空港でジェットエンジンの排気臭を嗅ぐと同じだ。。。。燃焼音もジェットエンジンを彷彿させるものが。。。。。

 長い間クライマーやハイカーに親しまれ続けた理由はこの豪快な燃焼音にもあるのではないでしょうか?真っ暗な山中単独行でもこの燃焼音は心強い励ましになったはず。。。。

            

お湯を沸かしコーヒーを入れてみました。。。

 点火に手間が掛かる、重い、かさばると現代の山行には嫌われ者ですがこの魅力はまだ衰えてはいません。