ガス缶を温める? 危険ではないか。。。。そうなのすが燃焼の際、液化ガスが気化し気化熱で液温は激しく低下します。プロパンガスの地域のラーメン屋さんのガスボンベが白く氷結するのを見かけたりアウトドアではこの悪循環から燃焼が弱くなる現象が起こりやすくなります。
火力を増すたびにこの現象は増大されます。。。しかし最近のアウトドアストーブではこの現象を軽減するために液化ガスを直接パイプで導入し燃焼口付近で過熱する液出し方式やより低温でガス化しやすい種類のガスを混合する通称パワー缶なるものが主流です。
webで¥980のガスストーブと¥1980のガスランタンを見つけました。”天”と”地”の収納場所が不明なことから購入してみる事にしました。
安物の銭失いか? 品質は最上とは言い難いですが普通に使う分には十分で予備や普段使いには申し分ない性能です。
さて このストーブを低温高地に持っていくかは別にして冷えるガス缶を温める装置を試作してみる事にしました。ウェブ上にも製作例は沢山出ています。銅版やアルミの物、ヒートパイプを使った効率の良いもの等さまざま。
手持ち材料の都合で4mm真鍮棒と0.5mmT銅版で製作してみました。パイプ以外の棒は曲げが簡単でトーチで銅版にハンダ付けする以外はとても簡単な製作です。
効果の程は。。。。 手で触るとほんわか暖かく缶温度は10℃~20℃程度上昇しました。ガスの燃焼勢力やガス残量、周囲温度などで大きく変動するので定量測定が難しい。。。缶がほんのり暖かくなればOKです。
熱を直接伝える真鍮棒(銅が望ましいが)の太さ(熱容量)や途中保温の為にグラスチューブを巻くなどすればこのままでも使えそうです。。PC部品でヒートパイプが入手できるので本格的にはその方が良いでしょう。
ただし 温め過ぎは極めて危険で缶の破裂や火傷の危険があります
閉鎖温水循環型熱帰還の実験
失敗作
次に試したのはコレ バーナーで温めた温水で缶を温めたらどうなるか?
この実験では副次的にパイプの曲げ加工技術の実証をおこなう羽目になりました。細い棒であれば難なく曲げられますが中が空洞のパイプでは曲げ部が潰れてしまうのです。配管加工等では専用ベンダーを使いますが。。。。。
上手く曲げるいくつかの方法が。。。。1)砂を詰め熱する 2)水を入れ凍らせる など等
曲げる銅パイプは外形4mm 内径3mm 曲げても潰れないように中に2.5mmのアルミ線を通してみました。結果は上々で潰れずに綺麗に曲がりました。原理は1)2)と同じです。難点はアルミ線を曲げたパイプ内から引き抜く事でCRCを塗布したりバイスやペンチでテコの原理を利用し少しずつ引き抜きました。針金の方が良かったかもしれません(途中でアルミが一度破断)。
自在にパイプを曲げる技術を得たところで早速製作に掛かりました。材料は実験だけなので4mmφ銅か真鍮パイプ、価格はどちらもあまり変わらず何故か東急ハンズ新宿店では30cmの切り売りと1mが大差ない価格で売られていました。
シリコンチューブは熱に強く(180℃)今回の材料には必須です。内径4mmを1m用意しました。
さてココからが大変。。。。
試行1)ループ上の一部分に銅パイプを入れ加熱する。。。暖かい温水が循環する予定でしたが。。。結果は大失敗。 当然ですが加熱された銅パイプの両端からは同じく熱水と圧力がでて循環どころではありません。
試行2) シリコンチューブ・ループ上の一部にワンウェイバルブを入れる。。これも一時的に水が動いただけで失敗。
試行3) ある方からシリコンチューブ・ループ一部に立ち上げを作り温度差循環させるアイディアを頂き試したところ上手くいきました。
動作中の動画はこちら 画面をクリックしてYoutubeへ
しかし課題は山積で
1)加熱する銅パイプの過熱位置が重要な決め手で難しい。。少しでもずれると循環効率は途端に悪くなります。形状や固定位置の検討が必要。
2)シリコンチューブは耐熱温度180℃とは言え銅パイプ接合部は相当熱くなる。銅パイプを長くしたほうが良い
3)立ち上げ部を支える部品が必要
4)ワンウェイバルブを併用したほうが良い結果となるかも知れない
実験での温水は十分暖かく(出口付近は熱湯)短時間でガス缶を温める事が出来ました。。ふと思ったのは。。。。冬山などで(絶対行かないけど)このチューブを手袋や体に巻いたら暖かいだろうなぁ。。。
こんなのは絶対持ち歩かないだろう。。。。寒冷地仕様缶持ってけばいい
数日にわたり¥980のガスストーブでアレコレ遊べた。。。。もうこれは¥980の価値を遥かに超える